10/01/07 20:47:47
昨年4月の発生から5月までに国内の空港検疫をすり抜けた新型インフルエンザ感染者は、最大で入国を
防げた感染者の約14倍に上っていたことが、東京大学などの推計でわかった。
強毒性の鳥インフルエンザなど新しい感染症の流行に備えるには、発生の初期から、検疫と同時に医療体制や
休校措置を視野にいれた総合的な対策を取ることが欠かせないことが、改めて裏付けられた。厚生労働省
では、「新しい感染症を、どのくらい検疫で食い止められるのかを判断するための参考にしていきたい」と話して
いる。
この結果は、7日付の欧州の感染症対策専門誌「ユーロサーベイランス」(電子版)に掲載される。すり抜けの
多くは、発熱などの症状がない潜伏期間の感染者だったとみられる。
厚労省は北米大陸でウイルスの発生が確認された昨年4月、流行地のメキシコ、米国、カナダから到着する
直行便で検疫を強化し、5月末までに計8人の感染を確認した。だが、同月中に渡航歴のない感染者が国内で
見つかり、検疫の効果を疑う声が相次いだ。
研究チームは、ウイルスの潜伏期間、検疫で捕捉できた感染者数、簡易検査の検出率などのデータをもとに、
検疫をすり抜けた感染者数を推計する手法を開発。潜伏期間を2~7日、患者の何%を簡易検査で捕捉できる
かを示す「検出率」を、実態に合わせて70%として計算したところ、8人が見つかった5月末までの間に、
約14倍に上る計113人の入国を許したとの結果が出た。
チームの井元清哉・同大准教授と山口類(るい)・同大講師は、「潜伏期間が長い感染症の患者を、検疫で
すべて捕捉するのは難しい。すり抜けた患者数の推計を早期に行い、その結果をもとに、国内の医療体制を
整えたり、学級閉鎖の時期を検討したりする総合的な対策が大切だ」と話している。
ソース
URLリンク(www.yomiuri.co.jp)