09/12/12 23:21:16
地球の大気は彗星がもたらした?
Ker Than
for National Geographic News
December 11, 2009
地球の大気を構成するガスは火山噴出物からできたものと長らく考えられていたが、
新たな研究によると、彗星群の衝突によって生まれた可能性があるという。
この新説は、最近になって地球の深部から原始の状態のクリプトンとキセノンという元素が収集されたことを受けて唱えられている。
収集された元素が、太古の隕石と同じ同位体組成だったのである。
研究プロジェクトを率いた、イギリスにあるマンチェスター大学のクリス・バレンティン氏は、
「この発見で火山説は一掃される」と語る。
この研究によると、われわれが呼吸している大気中のガスの大部分は、原始太陽系星雲というガスやちりの雲からもたらされているという。
太陽や惑星の基になったこの雲が、まだ若かった地球の引力にとらえられた後、地球内部へと入り込んだ。
そして長い年月を経て火山から噴出し、地殻の裂け目から漏出したのだ。
「たしかに火山からもガスが噴き出したのは事実だが、地球の大気形成に大きく貢献するほどの量ではなかった」とバレンティン氏は述べている。
同氏らのチームがクリプトンとキセノンに注目したのは、ほかの元素と化合することが少ない希ガスという不活性な元素だからである。
クリプトンなどの希ガスの大半は、地球に到達した時点からほとんど姿を変えていないため、初期の地球の状況を正確に調べる助けとなる。
研究チームは調査結果に基づき、大気の生成について次のように主張している。
「45億4千万年前の地球誕生の直後に、ガスと水を豊富に含んだ複数の彗星が衝突して生成されたのではないか」。
この彗星の襲来時期は、内太陽系(木星より内側)に彗星群の大規模な衝突があったとされる後期重爆撃期と一致するかどうかはわかっていない。
海洋を形成したのがこのような彗星の集中砲火だった可能性は以前から指摘されている。
専門家らによると今回の研究では、「彗星は、生命の源となる物質を生息可能な領域へ運ぶ役目を果たしている可能性もある」と指摘されているという。
「彗星のような氷の天体が、星系辺縁部から水や揮発性物質の少ない岩石惑星が周回する領域へと運ばれる。
そのような、2つの惑星領域を非常に効率よく行き来する軌道プロセスがあることがわかってきた」と研究を率いたバレンティン氏は話している。
アメリカにあるミネソタ大学の大気学者ロバート・ペピン氏はこの研究には関わっていないが、次のように評価している。
「今回の研究データは見事なものだ。だが、ここから結論を導くのは時期尚早だろう。
初期の地球が原始太陽系星雲から得たガスを蓄積していたのが事実だとしても、それを内部に圧縮して取り込めたのかどうかはわからない」。
この研究は、12月11日発行の「Science」誌に掲載されている。
▽記事引用元
URLリンク(www.nationalgeographic.co.jp)
NATIONALGEOGRAPHIC(URLリンク(www.nationalgeographic.co.jp))
☆ご依頼いただきました。