09/11/24 19:54:06
★光で生物の運動を制御する化学物質
悪の科学者が生き物の動きを止める“冷凍光線”を開発するとしたら、その光線は紫外線かもしれない。
そんなことを思わせる研究が発表された。
カナダのブリティッシュ・コロンビア州にあるサイモンフレーザー大学の研究チームが、線虫という
無色透明の微生物にジチエニルエテンという感光性の化学物質を投与して紫外線を当てたところ、線虫の
動きを止めることができたという。
線虫の動きが止まるのは、紫外線によってジチエニルエテンの構造が変化するためだ。研究の共著者である
ニール・R・ブランダ氏によると、ジチエニルエテンは通常は無色だが、紫外線を当てると青色に変化し、
線虫の代謝を遮断する。可視光線を当てると線虫は元に戻り「何事も無かったかのように」再びゆっくりと
這いまわり始めたという。
光で何らかの“スイッチ”を切り替えて生物の機能を制御することに成功したのは今回の研究が初めとなる。
とはいえ、悪の科学者であってもこの方法で人々の動きを止めようとはしないだろう。実は、ジチエニルエテン
によって線虫は死んでしまったのである。
しかしブランダ氏の研究チームは、この技術を使えば効き目の有無を自由に切り替えられる薬を開発できる
のではと期待している。 現在では、ある種の癌(がん)など様々な病気の治療に感光性の物質が使われて
いるが、既存の技術では、いったん作用が始まると停止することができない。
しかしジチエニルエテンを使えば、身体全体に薬を均等に行き渡らせておき、「治したい身体の部分に光を
当てると」薬が効き始め、別の光線を当てると作用を止めることが可能になるかもしれないとブランダ氏は言う。
実現すれば、患者は薬の作用を自分でも容易にコントロールできるようになるだろう。「なぜこうなるのかは
分かっていないが、もし弱い光で利用できるようになれば、家に治療キットを常備する必要もなくなるはずだ」
この研究は2009年10月7日に「Journal of the American Chemical Society」誌オンライン版で発表された。
URLリンク(www.nationalgeographic.co.jp)
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