09/10/22 19:01:54
1回なのか。2回なのか。医療従事者や妊婦への接種回数をめぐり、方針が迷走した新型インフルエンザの
ワクチン。流行期に入り感染が広がる中、1回接種で人数を倍にしたい厚生労働省事務方に、政治主導で「科学
的根拠がない」とする足立信也政務官が“待った”をかけた形だが、既に接種が始まった医療現場には困惑が
広がっている。
▽二転三転
「一体何の科学的根拠があってそこまで言えるんだ!」。接種回数を検討する厚労省の意見交換会が開かれた
16日夜。結果報告を受けた足立氏は声を荒らげた。
交換会では、これまで免疫獲得には2回必要としていた接種を、13歳以上は妊婦や持病がある人も基本的に
1回とする方向で専門家の意見が一致。前日夜、足立氏は同省幹部から「明日の会議で接種は1回でも有効と
いう意見がまとまりそうです。方向転換の発表をしていただきたい」と報告を受けた。
「すぐに結論を出す必要はない。専門家が意見を言うのはいいが、厚労省が決定したという誤解は与えるな」。
医師でもある足立氏は「1回接種」は健康な成人での調査が根拠だったことから、妊婦や持病がある人に適用
するのは拙速と判断、幹部に念押しした。しかし、結果は厚労省の方針とほぼ同一視する形で各メディアで
報じられた。
▽省内不一致
足立氏は19日夜、急きょ専門家会議のメンバーに別の感染症専門家を加えた意見交換会を開催。「慎重に検討
して判断する」と事務方案を事実上ひっくり返し、翌20日、20代から50代の健康な医療従事者については接種を
1回にするものの、妊婦や持病を持つ人は当面2回とする方針を公表した。
外科医の経験があり、多くの医師や研究者らとネットワークを持つ足立氏は、新型インフルエンザ対策をめぐって
事務方と対立。「つまりは、政治主導ではなく事務方が接種回数を決めたように見えて、不愉快だったんだろう」。
ある幹部は強く憤る。2度目の意見交換会についても「われわれは信用されていないということだ。この先が思い
やられる」とため息をついた。
別の幹部は「医師だからといって専門知識を振りかざしたり、自分に近い専門家らの意見ばかり重用するなら、
医療行政の私物化につながる」と指摘する。
▽困惑の現場
省内の対立で翻弄ほんろうされた医療現場には困惑が広がる。妊婦と中高生は新たな臨床研究も予定され、
今後また接種回数が変わる可能性もある。
「2回で約6千円という金額に接種をためらう人もいる。1回か2回かというのは大きな問題」と話すのはさいたま
市内のクリニック院長。「多くの人にワクチンをという考えは分からなくもないが、あまりにも現場の混乱を考えて
いない対応」と批判する。
ワクチンの準備に追われるある政令市の担当者は「厚労省は現場のことが頭にないのではないか」と憤る。
「ぎりぎりのスケジュールで準備をしている。こんな基本的なことがころころ変わるのでは計画が立てられない」。
ソース
URLリンク(www.chugoku-np.co.jp)
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