09/09/10 20:30:07
それは一見したところ、ただの壊れた泥まみれの石製のカップにしか見えなかった。
しかし、発掘チームが洗浄作業を進めると、表面に10列の謎の文字列が
刻みこまれていることが判明した。このカップは2000年前のもので、
イスラエルの首都エルサレムで発見された。
発掘チームのリーダーでノースカロライナ大学チャペルヒル校のシモン・ギブソン氏は
次のように話す。「石のカップ自体は当時のユダヤ人家庭ならどこにでもある
ありふれたものだ。しかし、石のカップに文字が刻まれているのは初めて見た」。
この文字列を解読できれば、イエス・キリスト時代のエルサレムの日常生活や
宗教儀式を解明する手掛かりが得られると考えられる。
発掘チームは2009年夏、ダビデ王墓や「最後の晩餐(ばんさん)」で歴史的に有名な
エルサレム旧市街のシオン山の調査を続けていた。そして、宗教儀式に関連する
小さなため池のそばで問題のカップを発見した。発掘現場は当時の上流階級の
居住区域で、近くにはヘロデ大王の宮殿があった。ヘロデ大王はキリスト生誕の
直前にイスラエルを統治していた人物である。
「周囲の遺跡や出土品から判断すると、このカップの作成年代は紀元前37年から
紀元70年の間と考えられる。紀元70年代にはユダヤ人の反乱に対抗してローマ人が
エルサレムを壊滅状態に追い込むが、それ以降のものとは考えられない」と
ギブソン氏は話す。
今回の発掘ではほかにも、ソロモン王がエルサレム神殿を築いた紀元前970年ごろから、
第1回十字軍によりエルサレムが破壊された紀元1099年まで、さまざまな年代の
遺跡が発見されている。
刻まれた文字列がなければ、今回のカップは決して異例な出土品ではないという。
3つの破片に割れており、状態が良かったわけでもない。このような石のカップは
当時のユダヤ人の間に広く普及していた。これには不浄のものを避けるという
宗教上の原則が大きく関係している。
>>2へつづく
ソース:ナショナルジオグラフィックニュース
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画像:聖書時代のカップの破片
表面には2つの言語を混ぜ合わせたと思われる文字列が深い掘り込みと浅い切り込みで刻まれている
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