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東北大学はトヨタ自動車などと共同で、電気自動車(EV)などに使う
リチウムイオン電池の正極材料で単結晶を作ることに成功した。
単結晶の性質をうまく調整できれば、電池の容量を左右するリチウムの濃度を
大幅に高めることが可能。結晶の状態と電気特性の関係などについて研究が進めば、
1回の充電で走れる距離を現行の約10倍に増やせる可能性もあるという。
東北大の一杉太郎准教授が中心となり神奈川科学技術アカデミーと東京大学も参加した。
リチウムイオン電池の正極に使うコバルト酸リチウムの単結晶薄膜を作製した。
レーザー蒸着法により、1センチメートル四方のサファイア基板上に
厚さ0.1マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルの非晶質の
コバルト酸リチウム膜を付けた。
成膜中にリチウムが抜けやすいため、原料にリチウムを多く加えた。
これをセ氏650度で1時間加熱すると。非晶質だったコバルト酸リチウムが、
基板表面と同じ方向に結晶軸がそろった単結晶に変化した。
加熱温度と時間の選択が良質の単結晶を得るポイントになった。
コバルト酸リチウムは酸化コバルト層が積み重なり、層間にリチウムイオンが挟まった
構造をしている。イオンが動いたり止まったりして電気を運び電池として働く。
層間にイオンをより多く蓄積させ、効率よく出し入れできるようにすれば
電池の性能が向上する。
既存の電極は結晶軸の方向が定まらない多結晶の粒子と、イオンの流れを補助する
黒鉛の粒子などを混合し、焼結して作っている。結晶の性能が不十分なため
黒鉛でおぎなっているが、その分だけリチウムの濃度が薄まり効率が悪いという。
一杉准教授らは、化学組成や成長のさせ方を工夫した単結晶をベースに電極を作り、
黒鉛を完全に除去できれば現行の約10倍の電気をためられるとみている。
10倍を実現するには10年程度かかる見込みだ。
今後、単結晶の結晶成長のさせ方や組成などを少しずつ変え、
電気特性の変化を詳しく調べて、性能向上に役立つ条件を探る。
さらに結晶間の境界(粒界)の状態などを様々に変えて高性能な多結晶の作製を目指す。
ソース:日経産業新聞 2009.8.14
(紙面をupしたもの-依頼スレより)
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