09/08/19 17:09:35
世界中の研究者が成果を上げることにしのぎを削っている
人工多能性幹細胞(iPS細胞)研究を、「落ち着いて」考える研究会が、
来月発足する。がん患者を精神的に支える「がん哲学外来」を開設した
樋野興夫(ひのおきお)・順天堂大教授(病理・腫瘍(しゅよう)学)が
世話人代表に就任、iPS細胞を発明した山中伸弥・京都大教授が顧問を務める。
会の名称は「iPS細胞を用いたがん研究について落ち着いて考える会」。
樋野教授が今春、山中教授側に会の創設を提案した。
学者の世界は「世界初」を競う競争主義だけに、異例の存在になりそうだ。
樋野教授は08年から、がん患者と家族、医療関係者が語り合う
「がん哲学外来」を開いている。治療の成否だけではなく、がん患者の悩みに
耳を傾け、生きる本質を考える試みに、全国から注目が集まる。
樋野教授は、競争激化でiPS細胞研究が目先の成果を追いがちな現状を憂慮。
「iPS細胞研究もがん研究も、多くの人が進展を期待している。結果を急がず、
落ち着いて本質をとらえる姿勢が必要」と説明する。
具体的な研究テーマは、がん細胞を元の正常細胞に戻す治療法の検討だ。
iPS細胞は、体細胞に遺伝子を導入することで、さまざまな細胞に分化できる性質を
取り戻すので、がん研究に生かせる可能性があるという。
「異色」の顔合わせに、山中教授は「着実な成果を上げていくため、幅広い分野の
研究者が参加し、あわてずに研究を進める取り組みは重要」と期待する。
初会合は来月11日、京都大で開かれ、幹細胞研究の第一人者である
西川伸一・理化学研究所ディレクターや京都大などの数十人の一線研究者が参加する。
ソース:毎日新聞
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