09/05/26 19:07:52
>>1のつづき
鶏卵培養法は、大量の有精卵の確保が必要で、製造には約六カ月が必要。
今回のケースが示したように、新型ウイルスは瞬く間に世界に広がる。
被害拡大を防ぐには、できるだけ早いワクチン製造が求められている。
細胞培養法の最大の特長は製造期間の短さ。ウイルスそのものの入手は必要なく、
公開された遺伝子情報から免疫にかかわるウイルスの表面タンパク
「ヘマグルチニン」を作る遺伝子を作成する。
それを運び屋となる「バキュロウイルスベクター」に組み込み、ガ(ヨトウガ)の幼虫から得られた
培養細胞に導入。増殖させて大量にヘマグルチニンを作り、精製してワクチンとする。
■ウイルス不要
「鶏卵培養法での生産量は入手できる卵の数によって決まるが、
細胞培養法では培養タンクの数を増やせば短期間で大量生産ができる」。
UMNファーマの上村謙吾・研究開発企画担当部長はその利点を強調する。
昨年六月から、二十-四十歳の健康な男性百二十五人に三週の間隔を置いて製造した
ワクチンを計二回投与。基本的な有効性と安全性を確認した。
二月に開かれた世界保健機関(WHO)の新型インフルエンザワクチンの評価会議でも、
その成果を報告した。
年内に二回目の臨床試験を始める予定で、二〇一一年半ばの製造販売承認申請を目指す。
工場用地は秋田市に取得済み。
約二十億円かけて工場を建設する計画で、技術開発に合わせて資金調達を進めている。
■「豚」も試作
一方、豚インフルエンザウイルスから変異した今回のH1N1型のワクチンについては、
この技術を開発したPSCが既に製造の準備にかかっているという。
UMNファーマは、PSCからウイルスの遺伝子を入手し、ワクチンの「種」となる抗原を開発する。
今月中にも着手し、早ければ六月末にできあがる見通しだ。
H1N1型の感染拡大が続くが、より毒性が強いH5N1型の脅威は去っていない。
東南アジアやエジプトではH5N1型のヒトへの感染が頻発しており、
WHOは「H1N1型と混ざり合う恐れがある」と指摘。
強い感染力と強い毒性を併せ持つウイルスへの変異を懸念する。
「いち早くワクチンを提供できる能力をアピールしたい」と上村部長。
「危機管理面からも複数のワクチン製造法を持っていることが重要。
H5N1型の流行に備えて着々と準備を進めたい」と話している。