09/05/10 23:34:47
(ニュースソース)朝日新聞
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塩分を含む温泉水を使って高級魚のトラフグを養殖する試みが、「海なし県」の
栃木県那珂川町の山あいで進められている。1200匹を育てられる養殖場が
近く稼働、1年後には1トンを地元旅館などに出荷する計画だ。「新たな地域の
特産品に」と関係者は夢を思い描いている。
養殖に使うのは、町内のゴルフ場でわき出る温泉水。約1.2%の塩分を含み、
生育に害を及ぼす硫黄などの不純物がほとんどないという。
「海水魚を育てられるのでは」。町内で水質や土壌の調査会社を経営する
野口勝明さん(52)が思いついたのがきっかけだ。海水魚の陸上養殖を研究
している東京大学大学院の金子豊二教授(魚類生理学)に相談したところ、
「面白い。世界的にも例のない試みだ」と技術協力を得られることになった。
養殖する海水魚は「どうせやるなら高級魚を」とトラフグに決めた。昨年6月、
自分の会社のガレージに設けた水槽で、静岡県から仕入れた100匹を育て始めた。
地元企業と「那珂川町里山温泉トラフグ研究会」を設立。金子教授の研究室のほか、
宇都宮大農学部の研究室や栃木県水産試験場などが技術支援に名を連ね、
町も協賛に加わった。
奇抜にも見える「温泉トラフグ」だが、長所がある。成長が早いことだ。海の養殖だと
水温が下がる冬に育ちが悪くなるが、温泉を使えば生育に適した水温に保てる。
このため、通常より半年ほど早い1年ほどで、出荷できる重さ1キロ程度に育つという。
使う温泉水の塩分濃度は海水の3分の1ほどだが、金子教授によると、これも体内の
塩分濃度約0.9%に近いため、フグが体内で塩分を薄めるエネルギーを節約でき、
早い成長につながるという。
目下の課題は、海水で育ったフグに比べて肉にやや歯ごたえがなく、軟らかいこと。
塩分濃度が低いため、水分が多いのが原因らしい。このため、野口さんらは「研究者と
協力し、育て方を工夫して改善したい」と話す。
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