09/04/15 13:51:42
世界中で温暖化対策が全く講じられなければ、21世紀末の日本では、
猛暑で死亡する危険が3・7倍となり、洪水による浸水被害額が年8・7兆円増える
―そんな深刻な被害予測を国立環境研究所や茨城大など国内14の研究機関がまとめ、
14日開かれた政府の中期目標検討委員会(座長=福井俊彦・前日銀総裁)に報告した。
予測は、
〈1〉世界中で対策が取られず、1990年に比べて気温が3・3度上昇
〈2〉一定の対策を進めて2・2度上昇
〈3〉対策を強化して温度上昇を1・6度にとどめる
―の3ケースを想定。
2090年代に、気温上昇に伴って起きる洪水被害や森林の植生の変化などを分析した。
堤防設置などの被害防止策は取られないことを前提としている。
それによると、気温上昇で豪雨の頻度が増すため、洪水の浸水面積が増大し、
〈1〉~〈3〉のケースでそれぞれ、建物や農作物などの被害額は最大で年間
8・7兆~6・4兆円増えるとした。
暑さによる「熱ストレス」で心臓や肺に病気を抱える人が体調を悪化させるなどして
死亡する危険は、1990年の3・7~2・1倍になるとしている。
対策を強化して温度上昇を抑えた〈3〉のケースでも一定の悪影響は避けられないとの結果となった。
2005年の大気中の温室効果ガスの濃度は375ppmで、産業革命以降は上昇傾向にある。
世界の科学者で作る「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は、
〈3〉のケースにまで温度上昇を抑えるには、2050年時点での世界全体の二酸化炭素排出量を
2000年に比べて50~85%削減する必要があるとしている。
同委員会では、日本が20年頃までにどのくらいの温室効果ガス削減を目指すべきかの
中期目標について、1990年に比べて4%増~25%減とする6案と、
今回の予測結果や経済影響などについて公表し、今週中に国民の意見を募集する手続きに入る。
今月20日から全国5か所で国民の意見を聞く会合を開き、6月に政府としての中期目標を決める。
ソース:読売新聞
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