09/05/18 19:34:44 iW3KX5bo
>>757
寅「おらあ、寒河江(さがえ)という町を無一文で歩いていたんだ。
もう何をやってもうまくいかねえ時でなあ…、
おばちゃん「へえぇ……」
寅「腹はすいてくるし、手足は凍えてくるし、もう矢も盾もたまらなくなって、
…駅前の食堂に飛び込んだんだ。そこがお雪さんの店よ」
寅「背中にちっちゃな赤ん坊しょって働いていたっけ。
寅「オレは手に持ってるカバンと腕時計を出して…、
『これでなんか食わしてくれぃ』ってそう言ったんだ。
そうしたらお雪さんが…、
『いいんですよ、困っている時は、お互いですからね』
…どんぶりに山盛りの飯と、湯気の立った豚汁と、お新香を
そっと置いてってくれたっけ…。
オレはもう…無我夢中でその飯をかき込んでるうちに……、
なんだかポロポロポロポロポロポロ…涙がこぼれて仕方がなかったよ。
その時オレには…あのお雪さんが観音様に見えたよ。
その名の通り、雪のように白い肌の、そらあきれいな人だったぁ…」