09/06/10 13:16:59
立川キウイさんは、談之助さんや獅篭さんの漫画や、いろんな人から事前の情報を聞き過ぎていて先入観が山盛りだったが
「伝説」になるほど下手な落語ではなかった。
前座時代が16年半。
それは浅田真央ちゃんが、生まれてから世界チャンプになるのと同じ年月だと、枕で自嘲気味に言ってらした。
16年半ってすごい。
その間、破門が三回。
着物のたたみ方を教えた後輩の着物を、自分がたたむようになるとは・・・・
後から入門した後輩に、どれだけ先を越され、Wikipediaと2ちゃんねるでどれだけ叩かれても
落語をやめなかった人。
彼の高座を袖から観ていて、
本当にこの人は落語が好きなんだなぁ と思った。
高座では「技術」ではなく「人」が出るのだ。
技術はうまくなるかもしれないが、その人の持っている魅力やいやしさはごまかせない。
そういう意味ではとても怖い場所である。
噺を聞いてどんなに「上手い!」とうなっても、どうも好きになれない噺家がいる。
上手くはないけど、何だか面白いよな、とまた聞きに行きたくなる噺家がいる。
もちろん、魅力的な人柄と技術の両方がすばらしい噺家もいる。
キウイさんは生来の優しさか、苦労時代が長いせいか、あらゆる人に気を遣う。
叩かれて卑屈になる場合と、優しくなる場合があるが、彼は完全に後者なのだと思った。
キウイさんは、実に楽しそうにお酒を飲む。そしてどんなに酔っぱらっても、すべての人への気配りを忘れない。
前評判、ネットでの噂、これらは信じてはいけない、自分の目と耳で確かめるべきだと
改めて思った大須滞在であった。