10/05/03 11:47:07 GnVoDEc/
>>708
塩基配列によって決定されるのは基本的にタンパク質の一次構造であって
高次構造の最終的決定は遺伝因子以外の要因が関わってきます。
つまり情報レベルで見た場合、遺伝子は閉鎖系ではなく開放系として、
例えば細胞質内の場の情報(環境情報)と関わって高次構造を決定してゆくのです。
同様に個体自体も開放系として環境情報との関わりの中から具体的な個体を形成
してゆきます。環境情報は時間軸に沿って変化し、かつ個体にとっては非決定です。
よって魂という媒介変数を導入せずとも、ほとんど無限の差異を持った個体を生成できます。
今のところ魂とか神とかといった媒介変数はいわば「打ち出の小槌」であり
こんなものを導入すれば何でも説明できてしまうわけです。
従って科学的議論には馴染まないのです。
私は決して魂とか神とか宗教的真理を否定しているのではありません。
そういったものを科学的議論の中に導入することは、少なくともまだまだ時期尚早
であろうと思っているのです。
聖書やイエスを議論の対象とするのであれば、あくまでも聖書に基づいた神学的アプローチ、
あるいは歴史学的・文献学的・考古学的アプローチをとらなければ、議論が完全に発散してしまう
と危惧しています。在家さんは初期キリスト教の文献の検証といった「健全な」
アプローチをしているにも関わらず、そこに説明原理としてご自分の「神学」を混入されている
のではないか。以前にも書きましたが例えば「良い種には良い実が、悪い種には悪い実がなる」
の解釈はあくまでも聖書の文脈、ユダヤ教の文脈の中で解釈すべきで、それだけを
コンテクストを無視して「因果の法」と結びつけるべきではないと思います。ユダヤ教には
歴史に介入する神、審判を下す神という文脈もあるのですから。
ユダヤ・キリスト教と仏教、宗教と科学を結びつけるのは
それぞれ固有の領域での議論を尽くして、かつそれぞれ固有の領域での
思考法、方法論を慎重に考慮した上でなされるべきものではないでしょうか。
引っ張ってしまって申し訳ありません。決して在家さんの仮説が間違いだと言っているのでは
ないので誤解なきよう。私のような凡人には在家さんの包括的アプローチについていくのは
なかなか難しいのだということでご容赦くださいませ。