09/06/18 11:59:42 Pzsy5J9U
真言の力は比類なし ~法を知るとは、知識から体験へ進むこと~
まずエピソードからはじまります。お釈迦さまの時代、一人の比丘がいました。彼は仏法を
ほとんど学んだことはなかったのです。しかし、ひとつの法門だけ聞いて、覚えていました。
覚えていただけではなく、その教えの真意を理解していました。理解で終わることだけでもなく
、自分の身をもって経験に達していました。わかりやすい話、阿羅漢になっていたのです。
この聖者はそれからもたくさん仏教を学ぼうという興味はなかったのです。自分が学んでいる仏
教のすべては、最初に聞いた偈ひとつだけでした。その聖者が覚えていた唯一の法門はパーリ聖
典の『ウダーナ(自説偈)』というテキストの37の偈です。
Adhicetaso appamajjato,
Munino monapathesu sikkhato;
Sokâ na bhavanti tâdino,
Upasantassa sadâ satîmato. (Udâna 37)
超越したこころの状態を持ち不放逸である、
寂黙の道を歩み黙者(聖者)になっている、
平安に達して常に気づき(sati)ある、
そのような人に憂いはなし。
(ウダーナ 37)
この四行のなかに、仏道のすべてが凝縮されています。涅槃に達する道と、涅槃の境地が語ら
れているのです。その四行を理解できれば、仏教を理解したことになるのです。