09/01/27 21:44:22 vKN/lF7H
並川氏の研究の方向性に対しては、論外という評価と素晴らしい研究という評価と双方あると思います。
私個人としてはその研究は大いに「在り」であって、必要なアプローチ方法だと見なしています。
つまり、現存する経典から信仰のベールを剥がして真実を浮き上がらせようとする姿勢は、史実のゴー
タマに迫ろうとする際には必要な研究だと思います。私はこういう研究者は貴重であると高く評価します。
最古層と比較して古層になるほど「輪廻(samsara)」という語の使用が増大するから、この思想は後付け
であり、本来のゴータマの教えにはなかった可能性を指摘しているわけです。私は良い視点だとは思って
います。しかしながら、これは仮説に過ぎず、可能性の中の一つにしか過ぎないものと思います。だからと
いって、ゴータマが説いてなかったことになるのかどうか?ということです。
仮にもし、ゴータマが説かなかった輪廻転生の概念を、経典制作の段階で弟子たちが盛り込んだとする
のは如何にも不自然ではないでしょうか。
私はもちろん説いていたと見ています。経典制作の過程においては、弟子たちがそこを強調したいがた
めに「輪廻(samsara)」の語を増大させていったのではないか、ということ。