08/12/30 22:30:52 COuFWjdu
>>691
私は貶されるのは平気なのです。それは、あなたが己れの無知を露呈してるだけに過ぎない。では、
もう少しサービスです。以前の投稿時では、これらの学者たちを馬鹿にする意見がありましたが、ここに
名を連ねた方々は仏教学の大物ばかりですよ。知らない人は自分で確認されたし。
『ブッダは反ヴェーダ的自由思想家の一人であり、正統バラモン思想の否定者と見なされるが、 必ず
しも単なる否定者ではなかった。ブッダはヴェーダやウパニシャッドの宗教・哲学の陥った過誤を正して、
アーリア人の本来あるべき真面目を回復するとともに、これを新時代に適応すべく自らの見解を開陳した。
つまり、ブッダはアーリア文化の回復者であったといえよう。
例えばブッダの根本教説のひとつとされる「無我」の教えについていえば、それは無主体とか無霊魂とい
うことではなかった。無我の「我」とはウパニシャッドの哲学に説く絶対原理であるアートマンのことである。
ブッダはアートマンの絶対性を自己自身のものと誤認してはならないとして、執われの自我を捨て、我執な
き本来の自己を表現すべきであると説いた。無我とは真の主体性の確立ということであった。決して自我
の否定とか主体性の放棄を意味するものではなかった。
しかしながら、ブッダはアーリア文化の主流たるバラモン教の儀礼化、四姓制度の定着による人間平等
の軽視などの現実を見すえることによって、すすんでバラモン教に説く絶対神(世界創造神)を否定し、だ
れでも真理に目覚めればゴータマと同じブッダ(覚者)に成ることができるとした。あくまでも人間の自覚に
もとずく実践を基本に、万人成仏の道を明らかにした。このことは仏教がアーリア文化の中に生まれなが
らアーリア文化と本質を異にする一面でもある。』
(インド思想史/早島鏡正・高嶋直道・原実・前田専学著-東京大学出版会刊)