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ユダヤ・キリスト教の神を考える場合、歴史を考えることは大事な問題だろうと思う。神は
誰が作り、どのように誕生し、誰が育て、誰が変容させたのか。この問題を聖書の中から仮
説的に考えてみたい。
神はどのように誕生したのか。旧約聖書は、非常に長い時代にかかって書かれてきた歴
史書である。その内の多くの部分はモーゼが書いたと言われているが、モーゼによる記述
以前の中の最古の記述を特定することは大事な問題だろうと思う。そこにこそ、モーゼ以前
に神が誕生した起源が残っているはずである。
最古の記録は脚色が無く、誇張が無く、単純に実際にあった事実だけが書かれているも
のだろうと思う。僕はそのような最古の聖書、聖書の最古の原型として、『アダムの傳の書』
を挙げる。創世記第五章である。
アダムの傳の書(ふみ)は是(これ)なり神(かみ)人(ひと)を創造(つく)りたまひし日に神
に象(かたどり)て之(これ)を造(つく)りたまひ 彼等を男女に造りたまへり彼等の創造(つ
く)られし日に神彼等を祝してかれらの名をアダムと名けたまへり アダム百三十歳に及び
て其(その)像(かたち)に循(したが)ひ己(おのれ)に象(かたどり)て子を生み、其(そ)の
名をセツと名づけたり アダムのセツを生し後の齢(よわい)は八百歳にして男子女子を生り
アダムの生存(いきながら)へたる齢(よわい)は都合九百三十歳なりき而(しか)して死ね
り。 ~ ノア五百歳なりきノア、セム、ハム、ヤペテを生めり。(創5-1~5-32)
アダムの傳の書はおそらくノア又は、その近親者が書いている。近親者であれば、ノアか
らの伝承で書いたものだろう。ノアとはノアの方舟で有名だが、いつ頃の人かよくわからな
い。紀元前二千年か三千年頃の人であれば、アダムの傳の書は人類最古の文書の一つだ
ろう。神はどうして神になったのか。神の誕生を考える上で最も重要な記録がここに書いて
あると僕は思う。
ルカ傳によると、ノアをさかのぼること十代前、地上に一人の男子がいた。名をアダムとい
う。アダムとは、歴史書に残る恐らく最古の人名だろう。アダムは九百三十歳で死んだ。歴史
はそう教えている。僕は、人類史上最大とも言っていいような驚異的な事実の存在に着目す
る。ここでは神の原点を教えている。