08/10/12 21:17:15 2X3M5mL8
>>281
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さてこのような無道の時代、ラス・カサスという宣教師がいました(1474-1566)。
布教のために「新大陸」へ渡った彼は、征服者〈コンキスタドール〉たちの鬼畜の
所業を目の当たりにして、たいへんなショックを受けます。
なにしろ征服者たちは、インディオを喰わせるための「食人犬」を訓練したり、
征服地の井戸に組織的にペスト菌を放り込むような真似さえしていました。まったく
悪魔の行為です。
なおさらに悪いことには、「愛と正義」を説くはずの宣教師やら教会やらが、
「異教との聖戦」として、このような暴力を援護している。実際しばしば教会は、
収奪の指揮さえ執っていたのです。悲しみかつ憤ったラス・カサスは、同胞白人らの
無道の告発に踏み切ります。そしてインディオの待遇を改善するため、その後の一生を
捧げたのです。
ラス・カサスの良心は、全体の中では「焼け石に水」のようなものでした。
それでも彼のような人間がいたことは、記憶されるべきだと思います。現在では
カトリック教会も彼の功績を認めており、ラス・カサスは「聖人」の一人に
数えられています。
さてしかし、実はここからが本題なのだが、今もスペインあたりでは、
「ラス・カサスを認めない」という人たちが随分といるそうです。
それはどういうことなのか? 彼らの言い分は次のようです。
「白人は野蛮なインディオを〈文明化〉してやったので、感謝こそされても、
非難される筋合いはない」
「同胞の悪を暴いていい気になりやがって、ラス・カサスなんか、売国奴で
裏切り者で非国民だ」
「あんなヤツを認めるなんて、コンキスタドールの栄光を汚す自虐史観」
…というのです。彼らは〈黒い伝説〉という言葉を使います。つまり白人が
インディオに非道を働いたというのは、政治的に捏造されたフィクションだと
いうのです。インディオ征服は立派に人道的な行為だったとまでいうのです。