08/08/13 18:26:15
「ちょっと!本当にここなの?」
夏の眩しい日差しの中、ツンの前にあるその建だけは陰鬱な佇まいを醸し出している。
「あれ?言ってませんでした?調査するのはお化け屋敷だって」
「全然聞いて無いわよ!って言うか知ってて黙ってたわね!」
「そんな~。僕がそんなことする訳ないじゃないですか」
「遊園地からの調査依頼だってしか言わなかったじゃない」
「そうでしたっけ?いや~うっかりしてたな~」
「絶対わざとでしょ?…で、依頼内容はなんなの?」
「え~と、最近このお化け屋敷の中の監視カメラに不審な人影が写るそうなんでそれを調べて欲しいそうです」
「お化け役の人が写ったんじゃないの?」
「ここは完全機械化でお化け役の人とか雇って無いそうです」
「それに、そんなのここのスタッフが調べればいいでしょ!」
「それが…調べても何も発見されなかったそうで。探偵なら素人が見逃した所も見つけられるんじゃないか、ってことらしいです」
「大体、お化け屋敷に侵入して何が楽しいのよ!」
「遊園地側としては不安要素を無くしておきたいのでしょうね。こんな時代ですし」
「…まさか本物の幽れ…!そんな非科学的な事無いでしょ!」
「なに自分突っ込みしてるんですか?どうします、怖いなら断りますか?」
「怖くないわよ、バカ!や、やるわよ!こんな子供だまし、この私が怖がる訳ないでしょ!」
そう言ってずんずんと中に入って行くツンをやれやれといった表情で助手は追いかけた。