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サンフランシスコに住むニコール・サリバンさん(32)は、最新テクノロジーの販売促進を手がけて
いたことがあるため、履歴書に「エバンジェリスト(伝道者)」と記載していた。
だが08年に自ら会社を立ち上げた後、特別なスキルをアピールする必要が出てきた。
彼女は今、「ニンジャ」として有名になりたいと考えている。
サリバンさんは、黒頭巾をかぶった武術の達人ではない。自称「忍術を使ってソフトウェアを開発する」
サンフランシスコのコンピュータプログラマーだ。
今や「ニンジャ」は、新世紀の「グル(第一人者)」の座を争う、注目の職種なのだ。
会員数が6500万人を越えるビジネス向け米ソーシャルネットワーキングサービス大手、リンクトイン
によると、昨年、新しい職種としての「ニンジャ」は急増し、ほかの流行の職種をはるかに凌いだ
という。リンクトインのサイト上で公開プロフィールに「ニンジャ」と記載する会員数は今のところ
800人程度にとどまっているが、同じくIT関連で流行している「グル」や「エバンジェリスト」と
いった肩書きを大幅に上回ったと、リンクトインで職業データのパターンを研究する科学者のモニカ・
ロガティさんは語る。
「ニンジャ」とは何だろうか。正確に定義するのは難しい。
「日本から輸入されたものではない。どこにでもいるようなソフトウェア開発者か、専門技術職を
指しているようだ」とロガティさんは説明する。彼女がニンジャの登場に気づいたのは03年だが、
昨年は急激に人気が上昇したという。
シリコンバレーの人材会社の最高経営責任者(CEO)を務めるバレリー・フレデリックソンさんは、
90年代の「エバンジェリスト」から続いている、IT業界の風変わりな肩書きの最新版が「ニンジャ」
だと指摘する。
サンフランシスコでソフトウェア会社CureCRMを営むアレックス・シリカさんは、ニンジャはこれまでの
肩書きより「セクシー」だという。「グルはもう古い」
ほとんどの「ニンジャ」がコンピュータプログラマーだが、カスタマーサービスや家具の運送にいたる
までさまざまな職種に使われている。
ジョン・カールソンさんは、ユタ州ソルトレイクシティで、「ニンジャ作業員」サービスを提供して
いる。ニンジャ1人当たり1時間10ドルで、家事、警備、がらくたの運送まで引き受ける何でも屋だ。
金融分野ではニンジャの意味はもっと怪しげなものになる。銀行が申請者の所得、職業、資産などを
承認しない種類のローンの頭文字になるのだ。住宅バブル後、こういった種類のローンは、デフォルトに
陥り、借り主はニンジャのように姿を消したというわけだ。
またニューヨークの紳士服オンラインアパレル会社ボノボは、カスタマーサービス担当者をニンジャと
呼んでいる。
米国でニンジャが盛り上がっているのとは対照的に、忍者発祥の地、日本では、忍者はすでに、
テレビか漫画のなかだけの存在だ。
三重県伊賀市にある伊賀流忍者博物館の川崎名誉館長(60)は、現存する忍者として知られている。
同館長は、有能な労働者を忍者と呼ぶのは必ずしも間違いではないが、忍者という言葉が一人歩きして、
本来の意味からかけ離れてしまったことは残念だと語る。
WSJ(9日19:47)
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