10/01/06 19:39:23
◇YEMENってどこ? 米国で関心高まる「未知の国」
【ニューヨーク=松尾理也】多くの米国民にとってほとんどなじみがなかった
イエメンという国が、昨年末の航空機爆破テロ未遂事件を機に、
一気にニュースの中心に浮上した。2001年の米中枢同時テロ(9・11)直後に
浮上したアフガニスタンの場合と同様、「未知の存在」が米社会の不安を
増幅させている構図だ。イエメンに「強い行動」を求める声が出ていることに対し、
これまで注目を浴びる機会の少なかった
専門家らは、慎重な対応をとるよう注意を促している。
ニューヨーク市マンハッタン。ゲイル・スタンティルさん(52)にイエメンについて聞くと、
「何も知らないわ」と笑い声が返ってきた。
「イエメンのつづりは?」「Y、A、M、A、N?」。正解はYEMENだ。
同様の話は同時テロ直後、アフガニスタンという国名が急浮上した際にもあった。
現在はだれでも知っている国になったが、当時はAFGHANISTANの中の
「H」を正確につづることができる米国人は少数派だった。
会社員を退職し年金生活を送っているデービッド・ウェルシュさん(76)に聞いてみると、
「イエメンはアラビア半島に位置して、数ある首長国のひとつ」。どうやら、
アラブ首長国連邦(UAE)とごっちゃになっているらしい。
ただし、今回のテロ未遂でイエメンに対する関心と懸念が一気に高まったことは、
2人に共通する。スタンティルさんは「米国は直接乗り込んで、テロリストどもを
捕らえるべきよ」と力説した。
米国を標的にしたテロの歴史をさかのぼってみると、イエメンはしばしば現れる。
1998年のケニア・タンザニア米大使館爆破テロの容疑者の多くはイエメンの
不正パスポートを所持し、イエメンに立ち寄っていた。00年に起きた米駆逐艦爆破テロは、
場所がイエメンのアデン港であり、容疑者の多くがイエメン人だった。
また、最近では昨年11月、テキサス州の陸軍基地で13人が死亡した銃乱射事件の
ニダル・マリク・ハサン容疑者に思想的な影響を与えた可能性が指摘されている
米国籍のイスラム教指導者アンワル・アウラキ師も、イエメンを拠点に活動していた。
(イエメン軍の突撃で死亡したとの情報もある)
このアウラキ師と、今回の事件で逮捕されたウマル・ファルーク・アブドルムタラブ容疑者とが
接触を持っていた事実も浮かんでおり、イエメンに対する「強い行動」を求める
世論は徐々に高まりつつある。
こうした中で、イエメン関連の専門家からは慎重な対応を求める発言が目立つ。97年から01年まで
在イエメン米国大使を務めたバーバラ・ボディーン氏は米公共ラジオ(NPR)のインタビューで、
「どれほどイエメンが貧しいか、米国人が真に理解するのは難しい」と述べ、政府機能の
強化に向けた地道な支援が重要と説く。
カーネギー財団国際平和研究所のクリストファー・ボーセク研究員も同インタビューで、
「米軍が直接現地に乗り込めば、地元の不満に油を注ぐだけ」と、単純に強い対応を
求めがちな世論にクギを刺している。
ソース(産経新聞)
URLリンク(sankei.jp.msn.com)
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▽首都サヌアの旧市街を歩くイエメンの人々
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▽賑わいをみせているサヌアの旧市街にある市場
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