09/09/30 21:38:51
9月28日、NSW州最高裁は、トーマス・サム(42)と妻のマンジュ(37)の両被告人を、
「湿疹で苦しんでいた娘グロリア・メアリー扶養の義務を怠り、死なせた」として、
故殺罪で有罪を言い渡した。
サム夫婦の娘グロリア・メアリーちゃん(当時9か月)は全身の湿疹で悩んでおり、
皮膚の出血、髪も白変、体格も衰えていき、始終苦痛に泣き叫び、傷口は滲み出る
体液で濡れ、角膜も溶けるという状態だったが、トーマス被告人は、ホメオパシー
(同種療法)の効果を信じ、手遅れになるまでグロリア・メアリーちゃんに医師の治療を
受けさせなかった。
サム夫婦はいずれも大学卒の学歴を持っているが、ホメオパシーだけに頼り、
グロリアちゃんは十分に食物を摂っていながら、湿疹のために栄養不良状態だったと
診断されており、2002年5月、湿疹による皮膚の傷の感染がもとでシドニーの病院で
死亡した。しかも、2001年10月には、医師の制止もきかず、さらにホメオパシーを受け
させるためにインドに連れ帰り、死亡直前にシドニーに戻ってきたが、最後の9日間、
泣き叫ぶグロリアちゃんに何の手当もしなかった。グロリアちゃんの眼の感染がひどく
なったため、シドニー南ランドウィックの小児病院に連れて行ったが、時すでに遅く、
3日後にグロリアちゃんは死亡した。医師は、最後の9日間に医師の治療を受けて
いれば死ななかっただろうと診断している。
ピーター・ジョンソン判事は、トーマス・サム被告人に最低6年最高8年、マンジュ・サム
被告人に最高5年4か月、4年間保釈なしの量刑を言い渡した。
(訳注：ホメオパシーは、19世紀初めにドイツで始まった治療理論で、同種の症状を
引き起こす物質を微量与えることで治癒させるというもの。今ではその効果は
プラシーボと同等とされており、ホメオパシーそのものは毒にも薬にもならないが、
グロリア・メアリーちゃん事件のように現代医学の治療を妨げることが問題となる。
インドでは国民の貧困もあって、いまだにホメオパシーが信じられていると言われる)。
▲25Today/AAP（日本語）2009/09/28
URLﾘﾝｸ(www.25today.com)
■シドニーモーニングヘラルド（英語）2009/09/29
Parents failed Gloria, jailed for 'cruelty'
URLﾘﾝｸ(www.smh.com.au)
URLﾘﾝｸ(images.smh.com.au)
■Wikipedia（日本語）
ホメオパシー
URLﾘﾝｸ(ja.wikipedia.org)