09/02/04 16:06:10 BE:801342645-2BP(30)
インド南部カルナタカ州で1月下旬、ヒンズー過激派団体のメンバーとされるグループが「女性の飲酒行為
などはインド文化に反する」として、パブを襲撃した事件をきっかけに、女性の飲酒やパブの是非をめぐって
議論が起こっている。背景には宗教と政治が複雑にからんでおり、経済成長による急速な都市化に戸惑う
インドの姿を改めて浮かび上がらせている。
事件は1月24日、「インドのシリコンバレー」として有名なバンガロールから西へ約300キロ離れた、
アラビア海沿いにあるマンガロールの中心街で起きた。パブ「アムネシア」に十数人の男が現れ、店内にいた
女性客らを引きずり出すなどの暴行を加えた。
犯行の動機について犯人グループは「パブで女性が飲酒したり、男性と踊ってわいせつな行為に興じたり
している」と主張し、自らを“インド文化の保護者”として事件を正当化した。
国内メディアは、女性への暴力と、暴力で伝統的価値観を押しつけようとする行為を一斉に非難したが、
タイムズ・オブ・インディア紙は今回の事件について、「伝統を捨てて都市化するインドと、保守的な精神の
拠りどころに執着するインド」という「2つのインド」が浮かび上がったと指摘する。
欧米文化が当然のように身近に存在するニューデリーやムンバイの大都市では、「女性がパブで飲酒して
何が悪いのか」(ニューデリー在住の30代女性会社員)といった意見は多い。
しかし、ヒンズー至上主義団体を支持母体にもつ最大野党、インド人民党(BJP)からは「パブはインド
文化ではない」として、男性と同じ場所で女性が飲酒することや踊ることを批判する声も上がる。都市化と
パブ文化の浸透によって女性の飲酒が進み、「良き母として家庭を守る」という保守的な道徳観が薄れるという
考えが根強いのだ。
カルナタカ州は、このBJPが州政権を握る。バンガロールのような国際都市を抱える一方で、これまでも
「ヒンズー・ナショナリズム」を背景とした暴力事件が起こっている。
マンガロールはヒンズー教徒が7割を占めるとされるが、他宗教と共存してきた。しかしヒンズー至上主義
グループ、民族義勇団(RSS)が60年以上前から活動している土地柄で、RSSは、州政権を握るBJPの
支持母体でもあるため、州政府はこうしたヒンズー至上主義団体の過激な行動に厳しく対応できないとみられている。
今回の事件でも、州当局は犯人グループが所属するとされる「スリラーマ・セナ」(SRS)の代表の逮捕に
躊躇(ちゅうちょ)した経緯がある。SRSを非合法化すべきだとの声にも、同州のイエドラッパ首相は消極的な
姿勢を示したほか、「パブ文化はこれ以上、広がるべきではない」と述べるなどSRSに理解を示す発言さえしている。
一方、今回の事件について中央政府のレヌカ・チョードリー女性・児童担当相は、女性の権利を認めないイスラム
原理主義勢力タリバンを引き合いに、「インドのタリバン化だ」と強く非難している。とはいっても、「女性は男性の
ように飲酒できる権利をもつ」と声高に主張する公人はいないのが現実だ。
(09/02/02 20:01:MSN産経ニュース)
URLリンク(sankei.jp.msn.com)
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