09/01/11 10:46:24
アキレス腱突かれた欧州 供給途絶の悪夢再び
ロシア・ウクライナのガス紛争
ロシア、ウクライナ両国間の天然ガスをめぐる紛争を受け、欧州はガス供給が激減した三年前と同じ悪夢に再びうなされている。ガスを「武器」に、
旧ソ連下の同胞国だったウクライナをどう喝するロシア、同国の影響圏から逃れ、欧州連合（ＥＵ）入りを模索するウクライナ。両国のガスをめぐる
駆け引きのとばっちりを受けた欧州は、アキレスけんを突かれた形だ。
ロシアから欧州へのガス供給途絶は、ロシアのウクライナへのガス販売価格などをめぐる交渉のもつれが原因。いずれに非があるか不明確なまま
ウクライナを経由して欧州に運ばれるガスも停止された。ガス途絶は、ＥＵ域内で最も貧しいブルガリアを直撃した。国内ガス消費量のほぼ全量をロ
シア産ガスに頼っている同国では、政府が企業に対しガスの配給制を導入した。暖房が確保できないため、学校も約七十五校が休校に追い込まれ
た。同国政府は六日、「危機的状況に陥った」と宣言した。
スロバキアも非常事態宣言を出した。ＥＵ主要国のドイツやイタリアでも影響が出始めている。ＥＵは域内ガス消費量の約２５％をロシア産に依存。う
ち８０％がウクライナを通るパイプライン経由だ。ＥＵが紛争に直接介入する手だてはなく、零下二○度前後まで冷え込んだ一部加盟国は、ガス途絶
に文字通り震え上がった。
ウクライナの現政権は、将来のＥＵ、北大西洋条約機構（ＮＡＴＯ）加盟を目指している。ロシアにとっては、自らの影響圏保持のため、旧ソ連圏からの
離脱は容赦できない裏切り行為と映る。ガス供給停止は、西側入りを志向するウクライナに対する懲罰的な意味合いがあるとみられる。
当初静観していたＥＵも、両国が互いに非難合戦を繰り広げ、紛争がこう着状態に陥るに及び、調停を開始。結局これが奏功し、ＥＵの専門家に、ロシ
ア国営ガス独占会社ガスプロム、ウクライナ国営エネルギー企業ナフトガスの専門家を加えた約二十人から成る監視団をロシアとウクライナの国境に
派遣し、ガスの流れを検証する案を両国は受け入れた。
両国が合意文書に調印すれば、ロシアからのガス供給は再開され、ウクライナのパイプラインを通って三日後にＥＵ加盟国に届く見通しだ。
ＥＵ加盟国は三年前の苦い経験を教訓に、域内のガス在庫を積み上げてきた。ＥＵ全体としては、少々のガス供給削減には耐えられる態勢が整ってい
る。一部加盟国は、ノルウェー、アルジェリアなど、ロシア以外にガス調達先を多様化しており、一定期間はしのげるとの見方もある。今回はたまたま、
不況下で産業用の需要が減退していることも、影響を和らげるのに役立った。
しかし、旧ソ連の盟主を自任するロシアと、そのくびきから逃れようとする旧ソ連諸国との間の距離は開くばかりだ。ロシアは昨夏、ウクライナ同様、ＥＵ
やＮＡＴＯへの加盟を目指すグルジアに対する武力行使さえためらわなかった。こうした構図が変わらない限り、欧州はいつまでもガス途絶の恐怖を払
しょくできないだろう。（ブリュッセル時事）
ソース（世界日報）
URLﾘﾝｸ(www.worldtimes.co.jp)
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