09/01/02 12:03:49
イスラエルによる大規模な空爆を受けたパレスチナのガザ地区。砂に覆われた荒れ地に数百もの白いテントが張られている。その中の一つをのぞくと、
地面にぽっかり穴が開いていた。深さ約18メートルの縦穴は約400メートル隔てたエジプトにつながる地下トンネルの入り口だった。
140万人のパレスチナ人が暮らすガザ地区では、イスラエルによる封鎖が続いている。無数に掘られたトンネルは、ガザ地区住民の生活を支える生命
線だ。トンネルを経由してガソリンや食肉、洗濯機からiPodまでさまざまな品物が密輸される。
◆流入物資の90%担う
「トンネルなしでガザ地区の経済は成り立たない」とガザ市のエコノミスト、オマル・シャバン氏は話す。「経済が闇市場に完全依存していると非難されるが、
国境が封鎖されればこうならざるを得ない」
シャバン氏はガザ地区に流入する物資の90%がトンネル経由だと指摘。地下ネットワークは、同地区を実効支配下に置くイスラム原理主義組織ハマスの
武器調達にとって欠かせない役割を担っている。またハマスは採掘費用として1回につき1万1000シェケル(約25万7000円)を徴収しており、トンネルが
同組織の活動を支えるという側面もある。
2008年6月にはイスラエルとハマスの間で停戦合意が成立したが、12月19日にその期限が終了すると、過激派組織がイスラエル側にロケット弾を撃ち
込み、負傷者を出した。これに対し、イスラエルは大規模な空爆に踏み切った。
「空爆の標的の一つにトンネルが入っていることは間違いない。イスラエルは、エジプトとガザ地区の行き来を遮断したいと考えているだろう」とテルアビブ
大学の軍事アナリスト、イフタク・シャピール氏は指摘する。
◆失業後の生活手段
ガザ地区とエジプトを結ぶトンネルの採掘は数年前に始まった。品物はモーターで、廃材で補強した縦穴から出し入れできるようになっている。
密輸されるのは、家畜、セメント、冷蔵庫、コンピューターのディスプレー、コカ・コーラ、たばこなどさまざまだ。ガザ市の携帯電話ショップでは、アマゾン・ド
ット・コムで149.99ドルの値がついているiPodナノの4ギガタイプが500ドルで販売されている。
イスラエルは高性能のロケット弾が撃ち込まれることなどを根拠に、武器やミサイルの部品がエジプトからガザ地区に流入していると主張するが、トンネルの
所有者は武器の輸送には無関係だと話す。
現在1000を超えるトンネルが存在する。地下で働く労働者は約6000人で、彼らに食事を提供するレストランも何軒かある。
アブ・アルバラさん(25)は半年前に失業した後、妻の宝石を売った金で3本のトンネルの共同経営者になった。彼のテントに入ると、トンネルを歩いてきた骨
張った牛2頭がつり上げられ、地表に顔を出したところだった。次の行き先は食肉加工所だ。
モハメッドさん(28)はディーゼル油のパイプラインを所有する。1日の販売量が過去3カ月間、3万~10万リットルの間で推移していると説明してくれた。需要
と価格は、ガザ地区への貨物の入り口となるカルニ検問所の閉鎖・開放の状況によって変動するという。
燃料パイプの横には、トンネル内に圧縮酸素を送り込むパイプが設置してあった。地下で8時間働く労働者がガスやちりを吸って失神しないようにするためだ。
壁の崩落による生き埋めで、昨年40人以上がトンネル内で死亡している。
「非常にきつく、危険な仕事だ。早く封鎖が解除されて、別の仕事に就けることを望んでいる」とモハメッドさんは話している。今回の空爆で、解除はさらに遠の
いたとみられている。(Jonathan Ferziger)
【写真】
ゴンドラで地下トンネルに降りるパレスチナ人。空爆でトンネル入り口が破壊されたという報道もある=2008年12月17日、パレスチナ・ガザ地区(ブルームバーグ)
URLリンク(toku.xdisc.net)
ソース(Bloomberg)
URLリンク(www.business-i.jp)
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