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【イラン】高インフレで国民困窮 強権アフマディネジャド大統領に強まる批判[12/23]
イランのインフレ率
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イランで年率30%近いインフレが続き、国民は保守強硬派のアフマディネジャド政権への
不満を募らせている。政策転換を進言した中央銀行総裁を更迭するなど、強権手法にも批判が続出。
来年6月の大統領選で再選を目指しているが、大衆離反の危機は深刻だ。
大統領の自宅に近いテヘラン市東部ナルマク地区。八百屋の店先に並ぶトマトやキュウリは、
昨年同時期に比べ4~5割の値上がりだ。店主の男性は「大統領の地元だから、もっと安いはず
なんだけど」。高インフレを批判された大統領が「私の家の近所では、それほどでもない」と
強弁したことを皮肉った。
不動産の高騰も深刻だ。契約更新で家主が家賃の倍増を要求する例も珍しくなく、
持ち家のない若年層を直撃する。市北部に住む30代の夫婦は「2人とも1日12時間働いて、
家賃を払ったらお金がほとんど残らない」と嘆く。
05年のアフマディネジャド政権発足以来、インフレ率はじりじりと上がり、
今年10月には前年同月比29.5%に。
最大の原因は低金利政策とされる。「弱者救済」を信条とする大統領は、零細事業者や低所得者に
有利な低金利に固執。地方の生活水準向上も掲げ、開発事業に過剰な資金を投入した。
こうした政策に異を唱えた経済閣僚は相次いで辞任。引き締め策として利上げを進言した
中銀総裁は2人続けて更迭された。
インフレで消費が冷え込み、失業率も10%台で推移。原油価格下落の影響で財政悪化が
予想されるなか、政府は9月に3%の付加価値税を導入した。だが、商品の値上げを強いられた
バザール商人たちが不満を爆発させ、テヘランや北西部タブリーズなど各地で一斉に抗議スト入り。
社会的影響力の大きい商人たちのストは79年のイスラム革命以来初めてで、新税制は約3週間で
中止に追い込まれた。
大統領は「すべてを悪く見せようとする者がいる」と述べ、批判の背後に政治的な動機があると主張。
「世界的な食糧高騰」に原因を求める発言も目立っている。
アフマディネジャド政権は反米・反イスラエルの姿勢を鮮明にし、国際社会の求めに反して核開発を
続けてきた。米国が金融制裁を強めた影響もあり、先進国から大型投資が得られなくなっている。
実務官僚を重用した従来の路線も否定。言論・文化統制と治安強化でイスラム指導体制を強化してきた。
だが、経済失政がネックとなって大統領の政治基盤は保守派内でも弱まっている。
来年6月の大統領選では、保守派ライバルのラリジャニ国会議長やガリバフ・テヘラン市長らが
出馬の可能性を取りざたされ、保守派が分裂する可能性が出てきた。最高指導者ハメネイ師は
これまでアフマディネジャド氏を支持してきたが、立場を変える可能性も。改革派の
ハタミ前大統領にも根強い待望論がある。
過労で公務を欠席し、健康不安説も流れた大統領だが、危機感を反映してか最近は地方巡回の
ペースを上げている。意欲を見せているのが、収入に応じて国民に現金を支給する緊急の経済対策だ。
しかし「露骨な選挙運動だ」との批判を招き、難航が予想される。 イランの評論家サイード・
レイラズ氏は「高インフレに高い失業率と課題は山積しており、アフマディネジャド氏は石油収入で
ためた外貨を使って大統領選まで、問題を先送りするのが精いっぱいだろう。国民が現政権を
見る目は厳しい」と話している。
ソース asahi.com 2008年12月23日13時38分
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