08/12/04 13:14:24
>>1より
受験や偏差値がないことから“競争もないのに”と驚かれている
フィンランドの学校システムではあるが、どちらかというと、どの
生徒も小学一年生からして、「帰宅後すぐに宿題をすませる」ことの
方が注目に値するのではないだろうか。所要時間は30分前後という
無理のない量だが、毎日の宿題をやらない、あるいは、やり忘れ
る生徒はほとんど皆無だという。
フィンランドは、25歳から54歳までの女性の就業率が81%と、欧州
屈指の共働き社会だ。その共働き家庭では、両親が午後4時まで
仕事で帰ってこない家に、カギっ子の小学生が一人で帰宅して、
一人で宿題をすませておくのがスタンダードだ。宿題とは、親に
促されてやっと手をつけるのではなく、親が帰ってくるまでに
もうやっておくもの―各家庭でそういう躾がなされているのだ。
共働きが当たり前の社会では、子どもの自立をのんびり待っている
余裕などないのである。
また、フィンランドの学校では、生徒が留年してやりなおしが
できる落第制度があるという点が、日本のメディアでは大きく
評価されているようだが、この制度は、パイヴァコティ(保育園)
の時からすでに始まっている。保育園は、0歳児から4歳児までの
年少クラス、3歳児から5歳児までの年長クラスと5、6歳からのエシ
コール(プリスクール)の三部から成るのだが―それぞれのクラス
の年齢に“ダブリ”があるのにお気づきだろうか。
夏休み後の新学期―8月の新しいクラス替えで、園児達は、全員が
持ち上がりで同じクラスに配属されるわけではない。この時点で、
上のクラスに上がれる子と、同じクラスに留年する子が出てくるのだ。
もちろん、クラスの人数の関係など、理由は必ずしも他との比較に
よる“遅れ”ではないのだが、クラス編成は、年齢ではなく、それ
ぞれのクラスでの“適応能力”が基準となっている。
新学期が始まってしばらく、子ども達の間では、どの子が上のクラス
に行けたか残ったかで話題が持ちきりだ。親にとっても、たかが保育園、
プリスクールとはいえ、同じクラスで一年やり直しというのは決して
小さな問題ではない。システムや制度はどんなものであれ、競争心の
ない集団などあり得ない。いくらのんびりしたフィンランド人とはいえ、
周りから遅れをとっても、カエルの面になんとか、というほどまで
お気楽なものではないということを、釘刺しておきたい。(終わり)