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★グルジア・ウクライナのNATO加盟、「先送り」確実に
【ブリュッセル=尾関航也】
グルジアとウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟問題を
協議する12月2、3両日のNATO外相理事会で、両国の
「加盟候補国」への格上げが見送られることが確実な情勢となった。
グルジア紛争の結果、欧州諸国に慎重論が強まり、加盟推進派の
米国も説得を事実上断念した。NATOの東方拡大阻止を図る
ロシアにとって、事態はほぼ思惑通りの方向に展開している。
米国のカート・ボルカーNATO代表部大使は11月28日、
声明を発表し、加盟候補国認定をめぐる議論が「政治問題化しすぎた」
との認識を表明。そのうえで、候補国の地位を与えないまま、将来の
加盟受け入れへ向けた実質的作業を進めることを提案した。
ドイツやフランスが慎重姿勢を崩さないため、候補国という「名」を
捨てて加盟推進の「実」を取る決着案を示したものだが、明確な候補国
認定を求めていたグルジアとウクライナにとって後退感は否めない。
8月のグルジア紛争後、西欧諸国では、ロシアとの領土問題を抱えた国を
NATOに迎え入れるのは危険との認識が強まった。加盟国への攻撃は
NATO全体への攻撃と見なすことを定めた北大西洋条約第5条の規定
により、一国の領土紛争も欧州全体とロシアの軍事衝突に発展しかねない
ためだ。
ただ、ここでNATOの東方拡大にブレーキがかかれば、グルジアに対する
ロシアの強硬策が功を奏した格好となり、ロシアが今後、周辺国への介入を
一層強めかねないとの懸念がある。
このため、米国や英国は、逆にグルジアとウクライナの加盟を急ぐ必要が
あるとの見方を強め、「NATOの選択についてロシアに拒否権を与える
わけにはいかない」(ミリバンド英外相)と主張してきた。
両国の加盟問題は来年4月のNATO首脳会議で再び協議されることになる。
1月に米大統領に就任するオバマ氏は、両国の加盟に支持を表明しているものの、
加盟の時期などに関しては明確な見解を示しておらず、NATO東方拡大の
先行きは不透明感が強まっている。
(2008年11月30日22時28分 読売新聞)
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