08/11/17 19:44:44
レイオフ吹き荒れる米活字メディア
深刻化する金融危機のあおりを受け、米活字メディアが軒並みレイオフ(一時解雇)
の嵐にさらされている。インターネットに押されるここ数年の流れに急激な景気低迷が
重なった形で、将来の状況好転につながる材料がなかなか見つからないだけに、
去っていく記者や編集者からは「もうジャーナリズムの世界に戻ることはないだろう」
との悲観的な声も多く聞かれる。
11月初め、ロサンゼルス郊外に、十数人の地元ジャーナリストが集まった。
今回の金融危機で突然レイオフに直面したロサンゼルス・タイムズ紙の記者や
編集者を励まし、別れを惜しむための“送別会”だった。
レイオフされたのは、長年にわたって編集に従事したベテランが中心。
交わされる言葉のはしばしに、突然言い渡された解雇に対する戸惑いと悔しさがにじんだ。
同紙を傘下に持つトリビューン社は昨年、シカゴの不動産王サム・ゼル氏に買収された。
参加者からは「経営陣は新聞ビジネスを理解していない」など辛辣(しんらつ)な意見も
聞かれたが、結局のところ、現在の苦境をもたらしたのは「インターネットの影響に尽きる」
との分析がほとんどだった。
「レイオフされた後、多くはPR会社など報道以外の分野に去っていく。ジャーナリスト
としての職場そのものが縮小しており、同業他社に移るという選択肢はほとんどない」。
ある編集者は、こう話した。
この会に集まったのは、アジア系の記者や編集者が中心だった。しかし、参加者は
「アジア系がとりわけ冷遇されているということはない。レイオフは平等に降り
かかってきている」と口をそろえた。
金融危機表面化以降、新聞業界では次々にレイオフが明らかになっている。
新聞だけではない。週刊誌タイムやスポーツ・イラストレーテッドなどを発行する
タイム社は100人に上る自発的退職者を募集。経済誌ビジネス・ウイークなどを
発行するマグロウヒル社も270人に及ぶレイオフを予定している。英誌エコノミストも
北米部門の人員を5%削減する方針を明らかにした。
タイム社発行の雑誌として自らもレイオフに無縁ではないフォーチュン誌は、
「活字メディアが死に絶えることはない」と強調しつつも、「今起きていることは、
鉄道の旅がジェット機による空の旅に置き換わったような変化だ」と論評している。
◇米新聞業界の10月以降の主なレイオフ
ロサンゼルス・タイムズ 編集局人員の10%(75人)削減
ガネット(USA TODAY紙などを傘下に持つ米最大の新聞チェーン)
USA TODAY除く全地方紙の従業員10%削減
オレンジ・カウンティ・レジスター(カリフォルニア州の地方紙)110人削減
シアトル・タイムズ(ワシントン州の地方紙)編集局の約15%(35~45人)削減
スター・レジャー(ニュージャージー州の地方紙)編集局の40%(200人)削減
カンザスシティー・スター(ミズーリ州の地方紙)50人削減
2008.11.17 18:48 産経新聞
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