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【外信コラム】西海岸から 買い物は取り置きで
ふと見かけたギターが、欲しくなった。幸い、清水の舞台から飛び降りる覚悟までは必要なさそうな
額だったので、購入と相成った。衝動買いである。
その楽器店で目についたことがある。「レイアウェイ」と書かれた申込用紙が置いてあったのだ。
レイアウェイとは「取り置き」の意味。転じて商品取り置き方式分割払いを指す。大恐慌時に
一般的だった。満額支払い終了まで、買い手は商品を手にできない。
「商品は先に、支払いは後で」というクレジットカード文化と正反対のこの方法は、ほとんど過去の
遺物と化していた。小売りチェーン最大手ウォルマートは2006年に取り扱いを廃止している。
ところが昨今の金融危機で、この時代遅れのやり方が復活しつつあるという。同じく小売りチェーンの
Kマートは、年末商戦を前に今月、「レイアウェイはいかが」と広告を始めた。
米国人のすさまじい消費意欲が世界経済の牽引車だったとすれば、レイアウェイの復活は明るい
話題ではない。とはいえ、憑かれたように買い物を続ける米国人が正気に返ったとすれば、むしろ
健全な一歩かもしれない。
レジ係のお兄さんに聞いてみた。「たしかに最近、利用者が増えた。景気のいい話じゃないけど、
でもコツコツ支払いを終えて品物を手にする気分は悪くないんじゃないの?」。そういって見せた
笑顔は本音か、それともやせ我慢か。
(松尾理也)2008.10.30 03:08
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