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米兵事件 日本は裁判権放棄継続
2008年10月22日
日本に駐留する米兵らの事件をめぐり、日米両政府が1953年に「重要案件以外は
日本側は第1次裁判権を放棄する」と密約を交わした件で、在日米軍法務部の担当者が
2001年の論文に「合意は忠実に実行されている」と明らかにしていたことが分かった。
同担当者は、現在も同じ部署で米軍犯罪の法務関係を担当しており、密約が50年以上に
わたり受け継がれていることを裏付けている。当時の密約を認め、現在も有効とする
米軍見解が明らかになるのは初めて。米軍による犯罪が不起訴などとなり被害者が泣き寝
入りするケースは後を絶たないが、その背景に、密約を現在まで着実に履行する日本政府の
実態が浮き彫りとなった。
論文が収められているのは、01年にオックスフォード大学出版が発行した「駐留軍関係
法に関するハンドブック」。1998年にドイツで開かれたジョージ・マーシャル欧州安全
保障研究センター主催の「駐留軍関係法に関する会議」の報告をまとめた。
その中の「日本での外国軍隊の地位協定に関する協定」の項で、在日米軍法務部のデール・
ソネンバーグ国際法主席担当者(現次長)らが「特別な重要性がない限り、日本が裁判権を
放棄することに非公式に合意した。日本はこの合意を忠実に実行している」と指摘し、
現在も密約が有効だとしている。
論文は、日米地位協定の成り立ちや特徴などを紹介している。米国の政策目標を「裁判権の
最大限化と外国側による公判前拘留の最小限化」と明言。日本で行う裁判権の最大限化の
措置に(1)不起訴(2)米側による容疑者の犯罪捜査(3)起訴の意思を通知する時間の
消滅(4)既に起訴された事案の(裁判権)放棄―を挙げる。
同会議に出席した本間浩氏(法政大名誉教授、国際法)は「非公式合意が実行されているの
は客観的にも明らかだ。米側がこれまでに数回しか日本側に放棄を求めたことがないことも
裏付けている。日本政府としては、国民の反発を招くだけなので合意を否定するが、事実上
の放棄とは、抜け道を認めるやり方だ」と指摘する。
琉球新報
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