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海保研修イエメン初参加 海賊対策、中東とも連帯
海上保安庁がアジア各国の海保機関に捜査手法を指導する、「海上犯罪取締研修」に
イエメンが初参加する。イエメンはアデン湾を挟み、海賊の被害が多発するアフリカ
・ソマリアの対岸に位置。中東やアフリカの海賊対策でも、各国の海保機関が連帯する
第一歩になりそうだ。
研修は、海保と国際協力機構(JICA)が二〇〇一年から日本で実施している。
今年は中国やインドなど八カ国計二十人が参加。イエメンの海保機関からも、
現場指揮官と政策立案課長の計二人が参加予定という。
太平洋とインド洋の沿岸十八カ国・地域でつくる「アジア海上保安機関長官級会合」の
参加国がこれまで参加してきたが、イエメン沖で四月、日本のタンカーが銃撃された
事件を受け、JICAが同会合に参加していないイエメンを招待。同国も参加を決めた。
現場指揮官は十九日から、課長は来月九日からそれぞれ同十五日まで、横浜海上保安部の
巡視船や海上保安大学校(広島県呉市)などで、アジアでの海賊や密輸、密航の現状や
指紋採取法、尿検査法などの講義を受ける。柔道や剣道、合気道の技で致命傷を負わせず
に犯人を制圧する逮捕術なども指導する。
ロケット砲や自動小銃で武装した海賊が横行した東南アジアを中心に海保は国際的な
連帯を広げ、海賊の被害を激減させた。中東諸国との交流はなかったが、二月に東京で
開いた安全セミナーにオマーンが初参加。イエメンとも交流が始まったのを機に、
海保はソマリア周辺海域などで活発化する海賊の情報を収集する考えだ。
「アフリカの角」と呼ばれるソマリア沖の昨年の海賊被害は三十一件で前年の三倍増。
身代金目的で船員を人質にとるケースが多い。アジアと欧州を結ぶ海上交通路でもあり、
アフガニスタンの対テロ海上阻止行動に携わる多国籍軍も対海賊警備をしている。
2008年10月18日 夕刊 東京新聞
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