08/10/13 11:54:05
超インフレの国ジンバブエはいま……
最近なにかと名前を耳にするアフリカの国ジンバブエ。超インフレが続き、
インフレ率1,000万%以上、失業率80%以上など、想像もできないような数値が
ニュースで報じられている。
そんなジンバブエは今どうなっているのか? 9月下旬、ザンビアとの国境付近に
位置するジンバブエの町、ビクトリア・フォールズを訪れた。治安の悪化も耳に
していたのでかなり警戒していたのだが、見た目には混乱もなく落ち着いた雰
囲気(あくまでこの町に限った話だが)。
もちろん驚くことも多かった。ザンビアとの国境への道には、毎日大きな荷物を
抱えた地元の人たちの姿が絶えない。
「みんなザンビアまで買い物に行っているんだ。ジンバブエには物がないから」
と地元のタクシー運転手。たしかに町中にあるスーパーの生鮮食品の棚は空っぽ。
水や日用品はそれなりに揃っていたが、あとは冷凍の肉とパンが少しあっただけ。
客もほとんどおらず、閑散としている。
観光客向けのホテルにも影響は及んでいた。私が泊まっていたホテルのレストラン
では、ズラリと並ぶ数十種類のメニューのうち、実際に用意できたのは4種類だけ。
また、近くのイタリアンレストランでは、トマトもチーズもないという。
お金の価値も日々変わるから厄介だ。といっても観光客向けのレストランや
土産物屋は米ドル料金も設定しているので(現地の物価よりはかなり高いが)、
基本的にジンバブエドルへの両替は不要。そもそも政府の公式レートと闇レートの
あいだには何百・何千倍という開きがあり、しかも闇レートでの両替は違法とされて
いる。たとえば前述のイタリアンレストランの会計は約46万ジンバブエドル、
米ドルで30ドルだった。このときの公式レートは1ジンバブエドルが約1円。
正規のレートで支払ったら大変な金額だ。
また、数カ月前に発行された「1000億ジンバブエドル」という超高額紙幣。
ネットオークションでも一時人気を集めたが、8月1日に行われたデノミでいまや
10ジンバブエドルの価値しかない。そこで最近では「おみやげになるよ」なんて
言って、一枚 0.5~1米ドルくらいで観光客に売ろうとする人も増えている。
こうした大変な状況にも関わらず、現地の人々は日々を懸命に生き、旅行者に
接する態度も温かい。心優しいジンバブエの人たちに穏やかな暮らしが一日も早く
戻ることを願ってやみません。
2008年10月13日 (古屋江美子)
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