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岡田良男が1961年にカッターの刃を発明したのは必要からだった。 大阪の印刷工場の
末端職工だった岡田は紙を切る仕事をしていた。 手に力を入れて仕事をしているとすぐに刃
の切れ味が悪くなり、非常に不便だった。
ある日、靴職人がガラス破片を刃先にして使うのを見た。 先が鈍ればその破片をまた割って
使用していた。 格子状に切り込みが入ったチョコレートもヒントになった。 刃に一定の間隔
で切り込みを入れ、1つずつ折って使おうというアイデアが生まれた。
ハンガリーの新聞記者ラースロー・ビーローは出来上がった原稿にインクを漏らして台無し
にすることもあった。 粘り気のある輪転機用インクを使えばよいと考えたが、濃度が高すぎ
てペン先に流れ出なかった。 化学者の弟が43年、金属ボールベアリングでインクを押し出
す方法を考案した。 ボールペンの誕生だ。 これを真っ先に使用したのは英国空軍だった。
連合軍の第2次世界大戦の勝利は危険な飛行中にもボールペンでしっかりと座標系に目標物
を表示できたため、という分析もある。
こうした発明は科学的な大成就ではないが、人類の生活を少なからず変えた。 すでに存在
する刃とインクを‘違った方法で’使うことを創案したからだ。 情報通信業界では、この
ように何かを使いやすくする作業の内容を使用者環境(UI、User Interface)
という。
革新的UIは技術的な進歩を圧倒することもある。 任天堂が2006年末に出したゲーム機
「Wii」がそうだ。 競合他社が高性能機器の開発に没頭する間、任天堂は「遊び方」を
変えてしまった。 リモコンに動作認識センサーを付け、全身で運動するようにゲームを楽
しめるようにしたのだ。 「Wii」の昨年末基準の世界販売量は4500万台にのぼる。
アップルのMP3プレーヤー「iPod」も逆発想UIの産物だ。 複雑な機能はすべて捨て
て音響・画質に集中した。 ジーンズの後ろポケットにすっと入る洗練されたデザインで世界
の若者を魅了した。 アップル最高経営者スティーブ・ジョブズは「ひたすら重要なものを使
用者の目線で見る」ことを度々強調する。 企業ではなく顧客の立場に立ってこそ革新の道が
見えるということだ。
中央日報が大変身した。 消費者の側に立って長いあいだ熟考した結果だ。 UI革新は使用
方式を変える。 中央日報の読者はこれから新聞を下に置いて見なくてもよい。 地下鉄で
不平を買うことも減るはずだ。 内容は形式と照応する。 広げて読みやすい形にふさわしく、
グラフィックはすっきりし、記事は固定の枠組みを抜け出したのだ。 発想の転換は基盤を
揺るがす。 変化と競争が吹き荒れるだろう。 果実は読者のものとなる。
(イ・ナリ経済部門次長)
中央日報 2009/03/16 15:10:18
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