09/03/10 15:56:10
日本政府に在留特別許可を求める署名が2万筆を超え、埼玉県蕨市の市議会意見書採択などがありながら、入国管理局などが
3人そろっての在留を頑なに拒むカルデロン家。3月9日、夫妻らは東京入国管理局に出頭し、あらためて3人そろっての在留を
求めたところ、父・アラン・クルズさんは入管に強制収容された。支援者は最悪の事態に備えて救援基金を発足、記者会見での
報告などを要約してお伝えする。
入管出頭直前、報道陣に胸中を語る、父・アラン・クルズさん(どちらも9日、筆者撮影)
URLリンク(www.news.janjan.jp)
3月9日、東京入管に出頭した夫妻は、娘・のり子さんの意向も踏まえ「娘一人を残すことは親としてできない」など、あらためて
3人そろっての在留特別許可を求めた。しかし、入管は夫妻に自主的な退去を迫り、応じた場合にのみ、のり子さんに在留特別
許可を与え、夫妻には学校の入学式などの際にごくごく限った短期間の入国を認める、という方針を変えなかった。
結果、母・サラさんにのみ16日までの仮放免が出され、父・アラン・クルズさんは入管に強制収容された。
入管は、一家らの出そうとした「願い」と「再審情願申立書」の受理を拒否、中学校もまだ三学期だというのに、3月13日までに
一家への態度表明を迫っている。
一家そろっての退去も、父母のみの退去も、依然として一家には受け入れがたい選択肢だ。同様のケースは例えば、すでに
1987年、オーストラリア政府が国連か規約人権委員会から「自由権規約(第17条)※1に反し、家族への干渉」などと批判され
ている(関連サイト:オーストラリアにおける退去強制制度(PDF)※2)。
しかし、日本の入国管理はこれまでも、中国残留孤児や夫人らの養子達を強制送還するなど、頑なな移民拒否政策を採り続け
てきた。親の入国あるいは滞在が不法だったというだけで、日本を追い出される子ども、父母が日本から追い出される子どもは、
フィリピン、ペルーなどの国籍の人々を含めて、これまでにも少なくなかった(先生!日本(ここ)で学ばせて!―強制送還される
子どもたち)※3。
強制送還された子どもは貧困におかれ、日本の中学1年生が現地の小学校1年生になるなどの人権侵害を受けた。子どものみ
の在留が認められたケースでは、父母が日本から追い出されることで、学業や生活の維持に苦労をしてきた。
東京地方裁判所・司法記者会での会見で。母・サラさん、娘・のり子さん
URLリンク(www.news.janjan.jp)
子どもの権利条約(9条1項など)では「子どもの最善の利益優先」と「子どもがその父母の意思に反してその父母から分離され
ないことを確保する」ことなどを締約国に迫る。日本政府のいわば、出入国管理法に基づく退去強制は子どもの利益などに優先
する、とする解釈は、国連・子どもの権利委員会から、1998年、2004年の2度にわたって批判されてきた(アムネスティ・インタ
ーナショナル)※4。
カルデロン家父母の場合も、入国と滞在以外にこれといった不法行為はない。父は職場に信頼され、母は地域になじみ、娘の友人
は少なくない。にもかかわらず入管は依然として、いわば「父母が自主的に退去すれば、娘のみは在留特別許可を認める」という
方針を変更しない。記者会見で、のり子さんは「すぐにでもお父さんを帰して欲しい」と訴え、渡邊彰悟・弁護士は「家族に対する
恣意的な干渉」と抗議した。支援者らは最悪の事態に備え、この間、2万筆署名や蕨市議会意見書代表され、一家に寄せられた
数多い市井の善意に応えるべく、救援基金を発足させた。 荒木祥2009/03/10
URLリンク(www.news.janjan.jp)
※1 自由権規約(第17条)
URLリンク(www.nichibenren.or.jp)
※2 (関連サイト:オーストラリアにおける退去強制制度(PDF))
URLリンク(www.lib.yamagata-u.ac.jp)
※3 (先生!日本(ここ)で学ばせて!―強制送還される子どもたち)
URLリンク(www.tsutaya.co.jp)
※4 (アムネスティ・インターナショナル)
URLリンク(www.amnesty.or.jp)
>>2以降に続く