09/03/08 21:25:41 a4jEKQ7m
鋳造の刀剣について少しうんちく。
日本人に鋳物の剣というと「脆いんじゃないか?」と言う答えが返ってきます。
では何故日本の伝統的な鋳物は鍛鉄より脆いのでしょうか。その理由は炭素含有量にあります。
炭素が多いと鉄は「硬く、脆く」なることは有名ですが、もう一つ「融点が低く」なります。
日本の伝統的な炉では武器として適切な炭素量にすると溶かせなかったので、日本の鋳造鉄は
より炭素の多い鉄を使って作り、強度を要する武器は鍛造に頼るしかなかったのです。
一方大陸では、より高性能の炉がありましたので適切な炭素量の鉄で鋳造できました。このため
大陸では鋳造鋼や、おおざっぱに鋳造したから叩いて形を整える可鍛鋳鉄の武器があるのです。
これらは必要十分な強度を備えていますが、圧延や遠心鋳造といった技術はまだ無いので、
細身の剣や薄板を直接鋳造するのは難しかったでしょう。
ついでにスプリング刀について。刀剣に要求される性能は「折れず、曲がらず、切れる」ことです。そして
要求される優先順位もこの順番です。この視点で見ると「折れず、曲がらず」の二点においてはスプリングは
大変優秀な素材です。美術性とかはこの際気にしないことにします。