09/02/06 21:01:11 Mv5BrAQN
最高級のカレー粉を手に入れる為、5年前俺はインドへ単身旅立った。
インドでのカレー粉探しは、予想以上に難航した。
帰国まで数日と迫り、焦りと失望が交錯する時、ひとりの少女がそっと俺に何かを差し出した。
何の変哲もないカレーの木の苗だった。
結局これといった収穫もなく、少女に貰ったカレーの木の苗だけを持ち帰り、失意の中帰国した。
帰国後はなかなか立ち直る事ができず、貰った苗の事も忘れていたのだか、
ある日、ふと庭を眺めて見ると、見慣れない小木が立っていた。
息子が知らない間に植えたのだそうだ。その息子が中学に上がった秋の、まだ暑さの残る頃、カレーの木に初めて実がなったのだ。
インドにカレー粉を探しに出てから、5年の月日が流れていた
笊半分程しか集まらなかったその実を、すり鉢で丁寧に粉にしていく
ごく普通の王道とも言えるカレー粉の作り方で、4人分のカレー粉が出来上がった。
その粉で作ったカレーは甘口だった。
辛さの決め手となる真夏日が少なかったからであろう。
ただ、今まで食べたどのカレーよりも美味しかった
インドの少女に息子の優しさ、
人の愛情こそが最高のスパイスなんだなと実感した。
以上チラ裏