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韓国「李ーマン」大統領の憂鬱
2009/2/5
欧米の投資家向けに講演する韓国の李明博大統領=1月29日、ソウル(ブルームバーグ)
政府が苦境の原因をメディアに求めたり、インターネットの論客を追跡したりするのは
いかがなものだろうか。
この文の出だしを読んで、中国かイラン、あるいはウズベキスタンに関するコラムだと
思った読者がいるかもしれない。違う。これはハイテクの雄であり、世界13位の経済力を
誇る人口5000万の民主主義国、韓国のことだ。
韓国のメディアは「ミネルバ」というペンネームのブロガーの話題であふれている。
李明博(イミョンバク)政権から「社会の敵」と名指しされたパク・デソン氏(31)は通信法
違反の容疑で逮捕、起訴された。ネット上に「政府が金融機関にドル買いを禁じた」と虚偽の
情報を書き込んだというのが理由だ。
◆ミネルバの波紋
ここで取り上げたいのは、逮捕の正当性やオンライン規制問題ではなく、李大統領の経済
政策に対する韓国国民の信頼失墜だ。金融危機による消費の落ち込みなどで、2008年
10~12月期の韓国の経済成長率は前期比5.6%減となった。JPモルガン・チェースの
エコノミスト、リム・ジオン氏(ソウル在勤)は、今年はさらに2.5%縮小すると予測する。
1月19日、李大統領は姜万洙(カンマンス)企画財政相を就任1年足らずで更迭し、後任に
尹増鉉(ユンジュンヒョン)元金融監督委員長を任命する人事を内定した。昨年12月に経済
正義実践市民連合(CCEJ)が経済専門家82人を対象に実施した調査で、姜氏は李内閣の
中で「最悪の大臣」に選ばれた。
その姜氏を長い間、閣僚に登用し続けた李大統領は、ブッシュ前米大統領とともに
「リ(李)ーマン兄弟」というあだ名がついている。米証券大手リーマン・ブラザーズに
もじったものだ。
かつて現代グループ数社でCEO(最高経営責任者)を務めた李大統領は、昨年2月の
就任当時、「経済大統領」ともてはやされた。しかし、企業経営者ではなく、言論の自由を
持つ民主主義国の党首であることを、早い段階で忘れてしまったらしい。
世論に反して米国産牛肉の輸入再開方針を決定した際は悲惨だった。金融危機が世界を
揺るがした際も、李政権は当初韓国への波及を否定。その後もその場しのぎの対応で投資家を
悩ませている。
たった1人の無職のブロガーが政権を揺るがした、とは言い過ぎだろうが、その書き込みが
政府の不安材料となっていることは確かだ。だが、もっと重大な課題に取り組まなくてよいの
だろうか。 (続く)
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