09/01/27 23:19:02
中国経済の高度成長を支えてきた“両輪”、輸出と不動産業の低迷が深刻化している。
輸出は昨年11~12月続けて下げ、今後さらに下落幅を拡大することが確実だ。一方、内需振興の
カギを握る不動産は地方政府とデベロッパーが結託して値下げに抵抗しているため、販売が好転
しない。このまま成長の両輪が失速すれば、ハードランディングの可能性が高まる。
国家統計局発表によると、2008年10~12月期の国内総生産(GDP)は前年同期比6.8%増と
7年ぶりの低水準に急落した。この結果、08年通年のGDP伸び率は9%と、昨年の13%(修正値)
から6年ぶりに1ケタ成長に落ち込んだ。
最大の原因は昨秋来の世界金融危機による輸出急減で、11~12月はそれぞれ前年同月比2.2%、
2.8%減った。輸出は07年まで毎年20~30%増を続け、07年まで5年連続のGDP2ケタ成長を
支えてきた。
輸出の2カ月連続減少は10年ぶりだが、今年前半はさらに減り続けることが確実だ。中国は主に
素材や部品を輸入し、完成品にして輸出している。12月は輸入が21%も減少し、1月も減り続けて
いるから今後はこれが輸出減を加速する。
一方、内需の柱である不動産業の低迷も深刻だ。国家発展改革委員会によると、昨年12月の全国
70都市の不動産価格は前年同月比0.4%下落した。05年にこの方式で調査を始めて以来初の
下落だが、こちらも需要低迷でさらに下げ続けることが確実だ。
国家統計局の発表では昨年の不動産(住宅と商業用の合計)販売面積は6億2000万平方メートル、
販売額は2兆4000億元(1元は約13円)と、共に前年比約2割減った。北京の39%減(面積ベース)
を筆頭に、上海、浙江、四川などの省市で3割以上も減った。
不動産販売が大幅に減る一方で、投資はなお3兆元と前年比21%も増え続けており、空室面積は
1兆6400億平方メートル(前年比22%増)に拡大した。
この10年間の高度成長で不動産価格の高騰が続き、大都市のマンションが一般市民の手の届か
ないところまで上がったためだ。
一昨年秋のピーク時には北京や上海、広州などでは1平方メートル当たり1万5000から2万元以上
に急騰した。100平方メートル前後のマンションが日本円で2000~3000万円と、年収の20倍以上
になった。
不動産仲介会社、戴徳梁(香港)によると、これら大都市では販売激減で価格は昨年末までに平均
17%下がった。しかし販売回復にはさらに2~3割の下落が必要、との見方が内外のアナリストに
広がっている。
ところが土地使用権をデベロッパーに売ることを最大の歳入源としてきた地方政府は、相場暴落や
それに伴うデベロッパーの倒産を恐れて相場維持に懸命になっている。
値下げを食い止めるためにマンション購入者に減税や各種補助金を支給する政策を多用、このことが
市場原理による不動産価格の形成を妨げ、かえって販売の長期低迷を招いている。
業を煮やした国務院(中央政府)も昨年末に「相場の合理的調整(値下げ)を妨げるな」との通達を
全国に出すほどで、浸透にはなお時間がかかりそうだ。
不動産投資は中国の固定資産投資の2割強を占め、銀行貸し出しの3割が不動産業向けだ。
不動産が売れれば家電、家具など関連消費拡大の波及効果は大きい。逆に売れ行き不振で
デベロッパーが倒産すれば、銀行の不良債権が急増して信用不安につながる。
先進国の不況深刻化で輸出の回復は望み難い。それだけに、需給関係を反映した不動産相場の
調整を促すことがソフトランディングへの近道となりそうだ。(編集委員 山本勲)
ソース:産経新聞[2009.1.26 22:14] 【中国経済月報】輸出と不動産業…鈍る「両輪」
URLリンク(sankei.jp.msn.com)