09/01/23 17:00:38 BE:1937196498-2BP(206)
2005年に公開された映画『王の男』の主たるテーマは「同性愛」だったが、映画の配給元は
その事実を徹底的に隠した。だが、それから3年後の昨年に公開された『霜花店』の予告編
では、半裸の男性俳優二人が登場した。「韓国人は同性愛を扱った映画を見ない」という
映画界の暗黙の了解は、この3年の間に崩れ去ってしまったのだ。
このほかにも、韓国映画における性的表現に関するタブーが次々と破られている。映像物
等級委員会の厳格な事前審査によって規定された「制限上映許可」の等級付けが、最近の
大法院(日本の最高裁判所に相当)の判決や憲法裁判所の決定により、事実上有名無実化
したためだ。
大法院第3部は今月15日、米国映画『ショート・バス』の輸入・配給会社が映像物等級委員会
を相手取り、「制限上映許可」の処分を取り消すよう求めた行政訴訟で、原告の訴えを認める
判決を下した。また、憲法裁判所は昨年7月、「制限上映許可」の等級を定めた映画振興法の
規定について、「憲法不合致」の決定を下し、今年末までの法改正を勧告した。
「制限上映許可」の等級は実質的な上映禁止の措置に当たり、これが取り消されたことで、
『ショート・バス』は韓国の映画館での上映が可能になった。この映画では、集団での性交や
自慰など、露骨な性的表現を俳優たちが実際に演じている。だが、韓国内外の映画祭で
上映された際、評論家たちからは同作品の芸術性を認められていた。
この映画を輸入・配給するスポンジENT社のチョ・ソンギュ代表は22日、「映画を見るか否かと
いう判断は成人の観客一人一人がすべきものであり、国家がすべきものではない、というのが
われわれの主張だ。近日中に再審査を申請し、新たな等級の付与を求める方針だ」と語った。
『ショート・バス』をめぐる大法院の判決は、韓国映画における性的表現のレベルを引き上げる
ことになるとみられる。『元祖的な本能』(1992年)、『ブロークバック・マウンテン』(2005年)、
『ラスト、コーション 色|戒』(2007年)など外国の成人向け映画が韓国で公開されるたびに、韓国
映画の性的表現のレベルも上がり、その表現方法も多様化した。映画界では「『ショート・バス』
程度の露出や性的表現は許容範囲と考えられる」との意向を示している。
韓国映画の性的表現のレベルは、政府の事前審査機関と絶えず衝突しながらも、徐々に
引き上げられてきた。1956年の映画『自由夫人』は、女性のセクシャリティを初めてスクリーンに
映し出し、『愛馬夫人』(82年)はポルノ映画の時代を切り開いた。そして『うそ』(99年)は女子高生と
既婚男性の倒錯した性的関係を描いた。50年代に文教部(現・教育科学技術部)が行った事前
審査は、その後「公演倫理委員会」に移管され、99年からは映像物等級委員会が担当している。
「制限上映許可」の等級がなくなれば、わいせつ物に当たるかどうかの判定は、映画が公開された
後に検察や裁判所が行うことになる。
映画界では今回の判決を歓迎している。映画会社「春」の趙光煕(チョ・グァンヒ)社長は、
「映画館で公開する映画はテレビとは違い、観客が見るか否かを自分の意思で判断するものだ。
インターネット上でアダルト映画が無防備に出回っているこの時代に、映画館での上映が『制限
付き上映』のような措置で規制されるというのは適切さを欠くものだ」と指摘する。
だが、デメリットを懸念する声も少なくない。ある外国映画輸入・配給会社の社長は「映像物
等級委員会の審議をパスすれば、刑法上の“わいせつ物”に当たるという指摘を逃れられる
というメリットもある。今後は映像物等級委員会ではなく、検察に呼ばれることも多くなる
のではないか」と話す。
映像物等級委員会は現在、「憲法不合致」の決定が下された「制限上映許可」を「制限観覧許可」
に改める法改正の手続きを進めている。池明赫(チ・ミョンヒョク)委員長は「『青少年観覧不可』
と『わいせつ物相当』の間に、もう一つの等級を定める必要がある。『ショート・バス』のような映画が
一般向けに上映されるようになれば、道徳的な混乱が生じるのではないかと懸念される」と語った。
韓賢祐(ハン・ヒョンウ)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
URLリンク(www.chosunonline.com)
URLリンク(www.chosunonline.com)