09/01/18 18:05:31
>>1の続き
大部分の精子バンクは、不妊の夫婦が精子の寄贈者を一人連れてくる場合にだけ、物々交換の
形で冷凍精子を提供している。生命倫理法上、精子寄贈者の身元を不妊の夫婦が知っている場
合は、その精子を人工授精に用いてはならない。精子売買の可能性をなくし、精子寄贈者が後に
なって父権を主張するなど法的あるいは金銭的問題を起こしかねないからだ。採取されたばかり
の精子も使ってはならない。必ず、6カ月以上冷凍保管された不特定の人物の精子だけを使わな
ければならない。エイズ(後天性免疫不全症候群)などの感染性疾患がひそんでいるかどうかを
検証しなければならないからだ。そのため精子バンクは、不妊の夫婦が精子の寄贈者を連れて
きたら、その精子は冷凍保管し、代わりに冷凍精子を提供する、という窮余の策を取っているわ
けだ。このため男性不妊の夫婦は、不妊の苦痛のほかに、精子寄贈者を百方手を尽くして探さ
なければならない、という二重の苦痛に直面している。
精子バンクの精子枯渇減少は、精子寄贈に対する明確なインセンティブ(誘引、報奨)がないた
めに発生している、と分析されている。心臓や肝臓など寄贈された臓器は家族の病気治療のた
めに用いられ、献血は人道主義的立場から行われる。しかし精子の寄贈は自分自身の遺伝子を
持った子供が生まれる可能性があることを前提としているため、儒教的な血縁文化が強い韓国
で、純粋な寄贈者を集めるのは難しい、というわけだ。
寄贈者の条件も、20代から40代の適正な体格の男性でなければならないというもので、肝炎・
性病・エイズなど感染性疾患にもかかっていない人物でなければならない。それだけに、寄贈者
の幅も狭い。同じ遺伝子を持った子供が何人も生まれることを防ぐため、一人の精子を何組も
の不妊夫婦に使うこともできない。精子寄贈者には10万-20万ウォン(約6800-1万3700円)の
交通費が支払われるが、精子を売買した場合には3年以下の懲役に処される。
一方、フランスなどヨーロッパ諸国では、「男性不妊の夫婦」に良質の精子を安定的に提供す
るため、政府が地域別に公共の精子バンクを運営している。米国では、精子売買を認め数十も
の商業的精子バンクが営業しており、精子バンクを利用した子供が毎年約3万人生まれている。
釜山大病院で精子バンク長を務める泌尿器科のパク・ナムチョル教授は、「男性の不妊の30%
は、寄贈精子を利用するのが唯一の不妊解決策だが、民間レベルでは精子寄贈者を大勢確保
する余力がない。韓国も、少子化対策の一環として政府レベルの公共精子バンクを作ることが
急がれる」と語った。