09/01/11 14:48:51
日本人観光客におなじみのソウルの繁華街、明洞に行くと、化粧品店の店頭に掲げられたポスター
などで、美容家でタレントのIKKO(イッコー)の表示をよく見かける。目についただけでも5、6カ所。
小さな路地裏などをくまなく探せばもっと多いかもしれない。
IKKOが、日本のテレビ番組や雑誌で紹介した韓国化粧品がいま日本女性の間でブームになって
いる。とくに、化粧下地からファンデーション、保湿クリームなど複数の機能を併せ持つ万能化粧品
「BBクリーム」は、日本の有力マーケティング誌で2008年のヒット商品の1つに選ばれたほどだ。
BBクリームは、日本女性の間ではかなり知られた存在で、“何を今さら”と思う人も多いかもしれな
い。BBクリームのBBは「Blemish Balm」の略で、損傷した皮膚を鎮静させるという意味だ。
ドイツから持ち込まれたBBクリームが、韓国内で初めて紹介されたのは1980年代。当初は化粧
品というよりは、薬品という認識で皮膚科など病院で使われ出したのが始まりだ。当時、皮膚科で使
われていたBBクリームには、(1)皮膚鎮静(2)再生促進(3)皮膚保護-の機能を果たす成分が含
まれ、トラブルを抱えた皮膚に使用するのが目的だった。
赤い皮膚やニキビなど炎症がある皮膚に使用すると、肌の色を補正してくれるのでより効果的。
天然原料を多く含んでいるので敏感肌にも負担が少ないという。BBクリーム1つあればほかの化粧
品を塗り重ねる必要がないことから、厚化粧にならず素肌のような自然な仕上がりになるのが特長
だ。
こうした特長に着目し、1990年代になってからエステサロンで使われ出し、2000年代に入って、
韓国製BBクリームが誕生。韓国でナチュラルメークが好まれるようになったことや韓国の芸能人がよ
く使っていることが知られるようになり、2006年にまず韓国で大ブームになった。
2007年に日本にも輸出されたが、日本での認知度は今ひとつだった。それが、若い女性たちに支
持されているIKKOが2008年にテレビ番組や女性雑誌で紹介すると、人気に火がついた。韓国の
ブームから遅れること2年余り。昨年末には、「日本女性の5人に1人がBBクリームを購入した」と
報じる韓国メディアもあった。
現在、韓国で発売されたBBクリーム製品は30種類ほど。どれが本物でどれが偽物? というより
も、前述の皮膚鎮静といった機能を備えたものがBBクリームと呼ばれる。最近販売されている製品
には、このほかに(4)しわの改善などアンチエイジング(抗加齢)(5)美白(6)紫外線カット-といっ
た効用を加えたものも売られている。
製品ごとにどんな機能が備わっているかが違う。IKKOがテレビ番組などで紹介したBBクリーム
は「エチュードハウス」と「ミシャ」製のもの。韓国では、いち早く販売を始めた「ハンスキン」製が一般
的によく出ているようだ。
「ハンスキン」が販売しているBBクリームは8種類あり、カバー力や紫外線カットなどの効用がそ
れぞれ違う。中には、男女兼用の商品もある。韓国での販売価格は、2万3000ウォン(約1600円)
から5万3000ウォン(約3800円)。昨年4月に日本への輸出開始。半年間で100万個以上の売り
上げを記録した。
一方、エチュードハウスは日本への輸出は直接には行っていないが、通販での購入や、韓国を訪
れた日本人観光客らが買い求めたことで需要が伸び、昨年は約80万個を売り上げた。同社ではダ
ントツのヒット商品だ。広報担当の朴成垠さんは「ナチュラルメークを好む日本女性のニーズに合っ
ていたのだろう」と話した。
リップやアイメークなどを除けば、BBクリームを塗りさえすれば化粧が済んでしまうという手軽さ。
まず韓国女性たちの間でブームになったのもうなずける。「しゃぶしゃぶ」の店が韓国で増えている
が、1枚ずつ「シャブ、シャブ」するのを面倒がり、肉を一気に鍋に入れてしまうお国柄。何か通じるも
のがあるような…。(ソウル 水沼啓子、写真も)
URLリンク(www.iza.ne.jp)