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昨年末、韓国麗水市であったシンポジウムに招かれた。2012年の麗水エキスポに
向けた日本人観光客誘致策がテーマで、韓国人パネリストが「食堂のテーブルに
トイレットペーパーを置かないように指導したほうがいい」と言っていた。私は「韓国
らしいから別にいいのでは」と言ったが、以前、視察ツアーで一緒になった日本の
女性記者から指摘されて気になっているのだという。
韓国では庶民的な食堂で紙ナプキン代わりにトイレットペーパーを置いているところが
結構ある。しかも、そういう店は料理がおいしかったりする。先日、ある大学教授とそんな
店で夕食をともにしていたら、「日本留学から戻ってきたとき、この風景を見て、ああ
韓国に戻ってきたと思った」と懐かしんでいた。どこかしら形式張っている日本からの
解放感があったのかもしれない。
韓国では秋の大学入試シーズンにトイレットペーパーが受験生への贈り物になる。
韓国語で「(ペーパーを)引っ張る」を意味する動詞が「問題を解く」にも使うため、験を
担ぐのだ。引っ越し祝いの贈り物にもよく使う。そう思うと、食堂のテーブルも少し
違った風景に見えないだろうか。
=2009/01/10付 西日本新聞朝刊=
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