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東京都内の会社役員の男が、本人名義でアパートやマンションなどを賃借するのが難しい
不法滞在などの中国人に代わり、日本人を契約者に仕立て、違法に契約を結ばせていた
疑いがあることが、神奈川県警の調べでわかった。
県警は、日本人二十数人が繰り返し契約者となり、約2年間で首都圏を中心に少なくとも約
200件の違法契約を成立させていたとみており、入居実態を調べるため、詐欺容疑で数十
物件の捜索を始めた。警察庁によると、不法滞在者らへの組織的な住居斡旋(あっせん)が
発覚したのは初めて。入居の中国人には窃盗犯もおり、県警は犯罪者の拠点に広く使われ
ている恐れがあるとみて実態解明を急ぐ。
捜査関係者によると、男は東京都板橋区上板橋、会社役員伊藤静朗被告(41)(偽造有印
私文書行使の罪で公判中)。起訴状などによると、伊藤被告は2008年3~4月、契約者役
の日本人の男2人に一定の収入があると見せかけるため、偽の源泉徴収票を使って不動産
賃貸契約を結ばせ、不法滞在の中国人2人に住居を斡旋したとされる。
伊藤被告は06年秋、東京・池袋を拠点とし、中国人に賃貸アパートなどの保証人や契約者
として日本人の斡旋を始めたという。池袋などで無料配布される中国語新聞に、住居や就職
などの保証人を紹介するとの広告を出し、連絡のあった中国人の希望に応じて契約者役の
日本人を紹介。部屋の鍵と引き換えに、家賃約1か月分の手数料を中国人から受け取って
いたとみられる。
名義人役は、伊藤被告の知人や口コミで集まって来た日本人で、報酬は手数料の2割。残る
8割は伊藤被告が取っていたという。
伊藤被告は、逮捕された昨年10月までに約200件で日本人の契約者を紹介。入管難民法
違反(不法滞在)容疑で逮捕された入居者の男は、60件の空き巣を繰り返していたという。
県警は、家主をだまし、入居者は日本人だと思わせた賃借権詐欺の疑いで物件を捜索。入居
中国人の不法滞在や、契約時に偽の源泉徴収票が使われたことが発覚した場合、立件していく。
伊藤被告は、1件1万数千円で約400件の保証人の世話もしており、手数料と合わせて計約
2000万円を得ていたとみられる。
(2009年1月8日05時01分 読売新聞)
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