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東シナ海のガス田問題で、日中両政府が平成20年6月に共同開発で合意した直後、中国が継続
協議の対象となり現状を維持すべき「樫(かし)(中国名・天外天)」で新たに掘削を行っていたことが
3日、分かった。明確な合意違反で日本側は抗議したが、中国側は樫での掘削を終え、生産段階に
入った可能性が高い。主権と権益確保に向け、日本政府が対処方針の見直しを迫られるのは必至だ。
樫ではこれまでにも構築物(プラットホーム)から炎が出ているのが確認されていたが、日中合意後、
共同開発の協議対象である4カ所のガス田で、中国側の不当な単独開発が明らかになったのは初めて。
日中両政府は20年6月、ガス田問題で合意。「翌檜(あすなろ)(同・龍井)」付近での共同開発と
「白樺(しらかば)(同・春暁)」で日本の出資が決まった。樫と翌檜の本体、「楠(くすのき)(同・断橋)」
は共同開発の合意に至らず、継続協議の扱いになり、両国には現状維持が求められる。
この合意直後の7月上旬ごろ、樫のプラットホーム周辺の海域が茶色く濁っているのを、海上自衛隊の
P3C哨戒機が確認した。その後、変色した海域が拡大したり、海面が激しく泡立ったりしたのも把握。
防衛省はこれらの情報を外務省や資源エネルギー庁に連絡した。
同庁によると、海域の変色は海底掘削で汚泥が出たためとみられる。海面が泡立った原因は、プラット
ホーム上の発電機の冷却水が高温だったか、掘削用の機材などの熱源が海水に触れたことが挙げられる。
6月ごろ、樫のプラットホームに多数の長いパイプが置かれていたことも判明。10月にはパイプは
撤去され、ボートに積み込まれたのも確認された。パイプは掘削用ドリルを通すために使われたとみられる。
時系列でみると、中国は7月ごろパイプやドリルを使い、樫で掘削を開始。掘削は最短で1カ月程度で
終わるとされ、パイプが撤去されたことで、掘削を終え、石油と天然ガスの採掘に入ったとの見方が強い。
樫は白樺、平湖(中国名)とともに、石油などを中国本土に送るパイプラインでつながっている。樫では
17年以降、プラットホームの煙突から炎が出ているのも確認されている。
ただ、パイプが撤去された前後から、樫の煙突から出る炎は大きくなり、色も薄い黄からオレンジに
変わった。日本側はこの変化について、以前は平湖などからパイプラインで輸送され、濾過(ろか)された
石油などを燃焼させていたが、樫で直接吸い上げたものを燃焼させ始めた兆候と分析している。
日本政府内には「中国側は継続協議の対象になった樫などの単独開発に固執しており、一方的に開発を
進めていくとの懸念が現実化した」との指摘がある。
日本政府は、樫での掘削が日中合意に反するとして中国側に抗議したが、中国側はP3Cの警戒監視
飛行を「妨害行為」などと逆抗議してきている。
URLリンク(sankei.jp.msn.com)
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