08/12/27 17:45:34 vfrjumtj
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成20年(2008年) 12月27日(土曜日)
通巻第2436号
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二月危機説の中国、三月危機説の韓国経済
ウォン急速な落下でも輸出力回復せず、邦銀の三月決算近づく
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旧正月を前にして、中国経済が頓挫したことはあまねく知られる。
労働者が帰省する二月に各地で暴動が起きるだろうから、経済は危機に直面するというシナリオだ。
「三月危機説」がにわかに浮上したのは韓国である。
12月27日から始まった日本人の海外旅行ラッシュ、飛び抜けて増えた行き先はウォン安を狙った日本人ツアーの韓国行き。
団体も個人も買い物にマッサージとか。
「韓国経済はパニック直前だ」とジャーナリストの池東旭氏が言う。
設備投資マイナス7・7%、ウォンは一ドル=935ウォンから1469。
上場企業の倒産が87社、銀行の不良債権率が16%にも達したというではないか。
優良銀行の不良債権率がBIS規制の8%を軽々と突破して、11月末で10%。
こうなってはひたすら日本からの資本注入にたよるしか手段がない。
中国との類似点は外国資本の逃亡である。
さきに中国から外資が逃げ出し、貿易黒字にもかかわらず外貨準備高が500億ドルも激減した事実を小誌でも報じたが、
韓国も十月末に国際資本収支が350億ドルのマイナス。純債務国に転落した(251億ドルの債務超過)
頼みの綱であった輸出がウォン安でも伸びず、鉄鋼、造船、半導体という韓国を代表する“輸出御三家”も青息吐息、とくに中国が
造船所を大規模に造って輸出攻勢にでたため、韓国の造船受注がゼロという有様となった。
貿易収支も08年推計で100億ドルのマイナスに転落と予想される(いずれも数字は池東旭氏の「崖っぷちの韓国経済」(『情報交差点』、
一月号から援用)。
そこで日米にならって中国が57兆円の景気テコ入れをするように、韓国も累計で33兆ウォンを投じるが、この金額はGDP比の3・7%(日本と同じ)。
「三月危機」説の論拠は、三月決算をむかえる邦銀が韓国から資本を回収に動くためである。
三月期限の邦銀の対韓国貸し出しは25億ドル内外と言われるが、韓国の激減した外貨準備2000億ドルの1・25%でしかなく、
邦銀が危機をまねくという説は信じがたい。
就職難、経済政策無定見の現政権が国内経済要因をすり替えるための俗説ではないか。
もっと国内的に深刻な問題があると思われる。