08/12/19 22:40:37
■戦争賛美せず 愛国心あおらず 日本は最も抑制
先の大戦に対する各国の歴史認識問題が、アジアの国際関係に影を落とし続けている。米スタンフォー
ド大学アジア太平洋研究センターは、日中韓と米国、台湾の高校歴史教科書比較研究プロジェクトを実施
し、日本の教科書は戦争を賛美せず、最も抑制的だと指摘した。研究チームの主要メンバーである日本史
学者ピーター・ドウス氏に研究成果を、元米紙東京特派員ダニエル・スナイダー氏に研究の趣旨を報告し
てもらった。論点スペシャルとして紹介する。
■暗黙の教訓
日本の高校歴史教科書は過去30年間、海外のマスコミで悪評を買ってきた。太平洋戦争の開戦に対す
る日本の責任や、日本軍が占領地にもたらした苦難に教科書が十分な注意を払っていないという批判が
あり、教科書の内容がますます愛国主義的になっていると主張する人々もいる。
スタンフォード大学アジア太平洋研究センターの「分断された記憶と和解」研究は、こうした批判が間違っ
ていることを明らかにした。日本の教科書は愛国主義的であるどころか、愛国心をあおることが最も少ない
ように思われる。戦争をたたえることがなく、軍隊の重要性を強調せず、戦場での英雄的行為を語らない。
物語的な叙述をほとんど省いた出来事の年代記となっている。
日本の教科書が示しているのは、暗黙の教訓だ。それは、軍国主義の拡張は愚かなことであり、戦争は
市民に甚大な犠牲を押しつけるものであると諮る。日本の歴史教科書の戦争記述は、戦後日本が外交政
策の手段として軍事力の保持を拒んでいることと完全に歩調を合わせている。
日本の学習指導要領は、近隣諸国との友好的で協力的な関係の発展、アジアと世界の平和と安定の必
要性を強調している。
■奇妙な結果
対照的に、ほかの東アジア諸国の大半は自国史の教科指針で、歴史教育の基本的役割として民族の自
尊心と国民のアイデンティティー(帰属意識)の増進を主張している。
民族の自尊心を強調することは、時に奇妙な結果を生む。例えば、韓国の教科書は、1937年に中国で
勃発した戦争や真珠湾攻撃、広島と長崎への原爆投下など他国の教科書が取り上げている戦時中の主
要な出来事に言及していない。代わりに、日本の植民地統治に対する朝鮮人の抵抗運動や文学における
文化的発展にもっぱら焦点を当てている。言い換えれば、解放に向けた民族闘争の継続が韓国の教科書
の物語の筋である。
■自国中心の記述
最も愛国主義的に戦争を描写しているのは、おそらく中国の教科書だ。英雄的な軍事作戦の記述に満ち
ているうえ、最終的に日本を敗北させたのは中国、とりわけ中国共産党だったと示唆している。
太平洋での戦争や同盟国の果たした役割はほとんど言及されていない。原爆投下が戦争終結に果たした
役割は強調されず、日本軍に対する毛沢東の総攻撃要求とソ連の対日参戦が決定的要因とされている。
中国と台湾の教科書は、抗日戦争の勝利が、中国の権利と利益を無視した帝国主義勢力による1世紀
の恥辱をすすいだと書く。中国の教科書はまた、戦後も米国を新たな敵として反帝国主義闘争が続いたと
強調する。新中国は、東アジアの”進歩勢力”を追い出そうとする米国を阻んだ、朝鮮戦争の勝者として描
かれる。
(>>2-5の当たりに続く)
ピーター・ドウス氏
スタンフォード大名誉教授。専門は日本近代史。ハーバード大で歴史学博士。英国帝国史研究で進展し
た「非公式帝国」論などを導入、戦前日本の帝国史・植民地統治研究に貢献した。早稲田大などで数えた
こともある。
ソース:読売新聞<日米中韓台、歴史教科書比較>
ネットになし:紙面キャプURLリンク(hisazin-up.dyndns.org)
依頼:スレリンク(news4plus板:659番)
前スレ:スレリンク(news4plus板)
★1の立った時間:2008/12/19(金) 00:00:55