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台湾では日本語をよく見かける。日本の観光客や駐在員も多く、何より五十年間という
植民統治時代の名残でもある。日本語を見かけるたびにホッとする一方、複雑な思いも抱く。
「うーん」とうなってしまったのは、陳水扁前総統の逮捕を「政治的迫害だ」として開催された
抗議集会の会場で、「台湾＆阿扁（前総統の愛称）がんばれ！」と記された黄色い鉢巻きを
見た時だ。
前総統は日本円にして約二十一億円を海外口座に送金して不正蓄財した、とされる。
支持者の気持ちも分かるが、世論の多くは「逮捕は当然」とみており、司法の判断を
見守るべきだろう。その人物を日本語で応援されても…。
その意図を聞いて、さらにうなってしまった。前総統の支持者は高齢者が多い。
日本統治時代に教育を受けた、いわゆる「日本語世代」だ。
その人たちに配慮してあえて日本語を使ったという。
「がんばれ」の四文字に台湾社会の縮図を見た。 （栗田秀之）
ソース：東京新聞 2008年12月9日【世界の街から】台北 日本語鉢巻きに困惑
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