08/11/30 08:02:06
◆経済一流、政治は四流
「日本は経済は一流だが、政治・外交は三流どころか四流。これでは、世界における日本の影響力と地位は薄まる一方だ。日本が
世界からどう思われているか、あなたもわかっているはずだ」
日本でも名を知られる中国政府高官とその秘書数人と何度か、個人的にテーブルを囲んだ。「内向き傾向が強い」と日本の政治を
評した高官は、最近の日本政治のドタバタぶりを踏まえて、内政の不安定は経済にも反映されており、日本は国際政治の舞台で
影響力など発揮できない-と論じ始めた。
以前、本欄で、2005年の反日デモの背景となった日本の国連安全保障理事会常任理事国入りの問題について、「日本の常任
理事国入りに向けた日中の信頼関係は流動的だ」と書いた。この高官は「私は反日ではない」と断ったうえで、この問題に関する
中国の本音を丁寧な口調で説明した。「日本は中国人にとり『信頼できる国』ではまだない。確かに胡錦濤国家主席は日本重視だが、
常任理事国入りは別次元の問題だろう」
◆常任理事国は信頼必要
高官がまず指摘したのは、「歴史」である。「中国政府の同僚が訪日した際、日本側から『中国が主張する南京事件の30万人虐殺
には異議がある』『盧溝橋事件で最初に発砲したのは中国だ』と提起されたそうだ。こういう政治家が閣僚や首相になったらどういう
ことになるのか。将来、日本の首相がこうした誤った歴史観を持ち出したり靖国神社に参拝したりしないという保証はどこにあるのか」
日本の歴史教科書では再び「侵略」が「進出」とされかねず「将来の懸念だ」とした高官は、こんな“無理難題”も言った。「ドイツは
歴史を反省し、公の場でナチスを賛美する言論や出版を法律で禁じている。日本では、法律でそうした言論を禁止してはおらず、
心配だ」と。中国の歴史(観)に沿わない日本の政治家は法で排除せよ、といわんばかりである。
「周囲で不信感を持たれ、信頼されない国がどうして常任理事国になれるというのか」と結論付けた高官は、「これが私だけの
個人的意見だと思わない方が正確だ」とも語った。誤った日本社会認識も含めた、中国側の考えを率直に表明したものでもあり、
中国にすれば、常任理事国入り問題で日本を牽制(けんせい)する材料はいくらでもあることを示したものともいえよう。
◆2大国時代への自信
(中略)
軍事関係筋も「日本の凋落(ちょうらく)と外交下手」をしきりに口にする。資源獲得狙いで評判が悪い中国の対アフリカ外交について、
「結果はどうか。中国の国益に反しているか? 日本は資金もあるのに、なぜ中国と同じようにアフリカに多角的外交ができないのか」
と反論してくる。そして、「技術はあるのに、戦闘機は自主開発できず原子力潜水艦も建造できず、米国の顔色ばかりうかがうのか」とも。
軍事面での“自信”をみなぎらせた発言である。彼らの言葉や表情の端々に、日本を見下しているかのごとき姿勢すらにじむように
なってきているあたりが、気になる。
10月下旬、最新鋭の中国海軍ソブレメンヌイ級駆逐艦とミサイルフリゲート艦など4隻が津軽海峡を通って太平洋側に抜けた。
戦闘艦艇による示威行動には、太平洋を米国と二分して影響力を増そうとの中国側の意図が多分に込められていた。マスコミを含む
日本側の鈍い反応を中国がどうみているかは、推して知るべしである。
「日本は軍事国家になる。強大な軍事力を持つようになる」。ひところの中国のそんな決まり文句などウソのように、先の高官も日本
の軍事力に触れず、「日本は脅威ではない。中国にとり脅威なのは米露だけだ」とまで断言した。
どこの国からであれ、脅威と見なされていないことは、結構な話だ。ただ、単になめられているだけなのであれば、喜んでばかりは
いられない。日本に対して、中国にこうした対日認識・姿勢があることへの覚醒(かくせい)を促したい。そして、中国には、おごる平家は
久しからず、とだけ言っておこう。
ソース(MSN産経ニュース、中国総局・野口東秀氏)
URLリンク(sankei.jp.msn.com)