08/11/25 12:26:18
>>1の続き
国連総会第3委員会の北朝鮮人権決議案も、欧州評議会のそのような精神を直線的に受け継い
だものだ。決議案自体も、欧州評議会が中心となって推進してきた。これに対し北朝鮮は、「尊厳あ
るわれわれの体制に対する挑戦だ」と反発した。ナチスもニュルンベルクの法廷に対し、「尊厳ある
われわれの体制」うんぬんと反発しただろうか。尊厳? 尊厳とは何か。収容所群島の「完全統制区
域」を運営することが、尊厳だというのか。
しかし、北朝鮮の当局者は当事者であるだけに、彼らが反発するのは無理もない。問題は、韓国
の一部でも、北朝鮮が神聖視する個人崇拝体制に対し民間レベルで是非を論じてはならない、と公
言されていることだ。南北間の「相互誹謗(ひぼう)禁止」合意に従い、韓国の市民社会も金正日(キ
ム・ジョンイル)総書記の暴政と人権抹殺について口を閉ざすべきだ、というように。これは実に恐ろ
しい話だ。大韓民国憲法における良心の自由、表現の自由から目を背け、そうしてわれわれが享有
する民主的基本秩序を軽視する言動だからだ。
南北間の円満な対話のために当局者が慎重に発言する必要があるのは、言うまでもない。しかし、
市民社会も北朝鮮の人々が神のごとく見なす金正日総書記を批判してはならないとしたら、例えば
言論による正当な批判もひとまとめに「誹謗」として禁止しなければならないというのか。そんなこと
をいう人々は、北朝鮮の官営メディアが大韓民国60年史を一貫して「事大売国」と誹謗していること
に対し、果たしてどのように考えるのか、気になる。
北朝鮮人権運動家も、北朝鮮向けのビラの内容をできるだけ選り抜かれたものに整える必要はあ
る。それに対する当局の懸念と自制の要請にも、それなりの苦衷が存在するというわけだ。しかし、
民間団体の憲法的権利を「工業ガス管理法」で制約しようという一部の発想は、「浅知恵」レベルだ。
それならば、そもそも国連が「不可侵の金正日総書記」に触れるのも、「工業ガス」で防いでみて
は…。